平尾剛のCANVAS DIALY

日々の雑感。思考の痕跡を残しておくために。

2部リーグ1位、おめでとう。

ジョージ・グレーガンのタックル」について考察して欲しいというコメントが書き込まれている。ラグビーに詳しくない人にとってはなんのこっちゃな内容だろう。しかしながらラグビーファンならば、彼のプレーを見てなんでやろうと訝しんだ経験が一度はあるはずである。実のところ、彼が来日してサントリーでプレーするようになる前から、あのジョナ・ロムーすら一発で倒すタックルに興味を抱いていたので、まさにその秘密に迫ってみるべく機会が与えられた気がしている。

と言いつつも、もうしばらく彼のプレーを静観してから書くことにしたい。今はまだ書けない、という気がしているのである。頭の中には、何となくではあるがイメージはあるのだけれど、まだ言語化できそうにないほどに星雲状態なのである。ブログの更新を気遣って提案していただいた「さわさきさん」には申し訳ないけれど、今しばらくお待ち下さい。もったいぶる感じなのですが、あまりにおいしいネタなのでじっくり考えさせていただきます。もしかすると身体観測に書くかも、です。

さてと。

最近はウイスキーにのめり込んでいて、というよりもウイスキーというお酒の何もかもを知りたくて覚えたくて、今もサントリーの角を飲みながら書いている。いつかの【THIRD ROW】でカネムラ先輩ご愛飲のラフロイグを飲んだのがきっかけで、ちょっとウイスキーっておいしいんとちゃうん、と感じたのである。そう言えば、ハギジイがハマりだした時期とも重なっている。つまりは周りの人の影響をもろに受けて飲み始めたというわけである。

とにかくロックがおいしい。グラスの注ぎたては鼻にクイッとくる感じを楽しみ、氷が溶け始めた頃になると喉ごしで味わい、すっかり氷が小さくなると名残惜しい気持ちでグイッと飲み干す。うまい。今はまだよく味がわからないので、こうして格好つけながら家でひとりで飲んだりしている。だから角で十分なのである。大学の先輩先生からお土産でいただいた白州が今のところいちばんの好みかもしれない。シングルモルトがよい。

家飲みは1杯だけを心掛けているのだが、今日はあまりにおいしくて2杯目に突入。その理由は勝利の美酒だからである。ブログの更新をサボりまくっている間にもラクロスの試合は続いており、本日はリーグ最終戦であった。勝てば2部リーグ1位が確定、負ければ3位となり、1部への昇格の道が断たれるという大事な試合に、彼女たちは今シーズンベストな試合内容で勝利を収めた。これは飲まずにいられない。ちょっとした興奮を落ち着かせるために酒が必要だったのである。

うちのラクロス部は2部リーグに所属しており、今シーズンの目標は1部昇格である。1部に昇格するためには少なくとも2位以内に入ることが必要で、うちを含めて関西大学神戸女学院大学の3校が残り2議席を争っている。この3校のこれまでの戦績は以下の通りである。

本日の対戦相手である関西大学は5勝1分け。すでに全日程を終了し、この試合の結果待ちである神戸女学院大学は5勝1敗1分け。

そして、神戸親和は5勝1敗。

負ければ5勝2敗で3位、勝てば唯一6勝を挙げることになり1位が確定する。まさに背水の陣である。

負ければ引退を迎える4回生は秘めたる熱い気持ちをコントロールしようと努め、下級生はもうしばらく先輩たちと試合がしたいという気持ちを支えに迫りくるプレッシャーと闘っていた。そんな彼女たちがウォーミングアップをしている様子を眺めながら、いかにリラックスさせようかと思案しながら、しかしそうした思いを悟られないようにと、どこか余裕をカマしたように振る舞おうと努めていた。彼女たちの目にどう写ったのかわからないが、とにかくそのことだけしか頭になかったと言ってもいい。

しかしである。彼女たちを見ていると意外にもしっかりと動けている。一つ一つのプレーに、固さがみられるわけでもなく集中力が切れているわけでもない。あっ、これは極力ゴチャゴチャ言わない方がいいかもしれないと決断し、グラウンドに入る直前にはつい力が入ってしまったものの、それ以外はあまり多くを語らずに送り出した。それがよかったのかどうかはわからないけれど、とにかく彼女たちは最高のパフォーマンスを見せた。ふう。ホッとした。

これで2部リーグ“Bブロック”の1位が確定した。

そう、2部リーグはブロックが2つある。1部に上がるためには、Aブロックの1位チームとの試合に勝たなくてはいけない。その試合に勝てば文句なしに1部昇格である。いわゆる自動昇格ということである。しかしながら、もし負けてもまだチャンスが残っており、1部リーグの下位チームと直接試合をして勝てば昇格できる。言うなればチャンスは2度訪れる。

だからといってどちらかの試合に勝てばいいという心構えでは、おそらく昇格はできないであろう。なぜなら、どのスポーツにおいても1部に所属するチームと2部に所属するチームには、想像をはるかに超えた実力差があるからである。1部リーグで下位に位置するとは言え、2部のチームに比べたら確実につよい。1部のチーム同士でもまれていれば知らず知らずの内にチーム力は高まっていくものであり、2部に落ちたチームがそのレベルに馴染んでしまってなかなか1部に復帰できないという現象がスポーツを問わずにみられるのはそのせいである。

だから心してかからなければならない。

なんて力んでみても、僕はやはりラクロス初心者のただのお気楽コーチなわけだから、気の利いたアドバイスなんかできるわけもない。つまりのところプレーするのは彼女たちである。せめて気持ちよくしかもリラックスしてプレーできるように、ラグビー経験で培ったあれこれを精一杯の言葉に詰めて送り出してあげたいと思う。彼女たちがうれしくて泣きじゃくる姿をもう一度だけ見たい。

とにかく今日はよくやった。十分に感動させてもらった。

危うくもらい泣きしそうだったお気楽コーチは、ときおり笑みを浮かべながら帰路につき、そしてウイスキーを呷っている。とてもうまい。