今日は研究日。とはいえ非常勤がひとつあって、前任校での4年ゼミを行う日である。いつものように娘を送ったあと研究室に来て、さあ準備しようと思ったらなんと来週からで、拍子抜け。事前に確認してなかったのがいけなかった。
思いもよらずにできた空き時間。さて何をしようかと少し考えたあと、思い切って新宿に出かけることにした。街をぶらついてショッピングでもするかという気になったのである。というのは嘘で、来週末締め切りの原稿を書くことにした。計画通りに1日を過ごせたときには充実感を感じるものだが、思いがけずにできた空き時間を有効利用できたときにも、それとは違った満足感を覚える。すべきことからの開放感というか、拘束されるはずの時間を自分で使えるという支配感というか、なんかそんな感じだ。さてとどれから手をつけようかと思案する時間は、なんだかワクワクする。
そうして書き始めた原稿だから、まあ筆が進むのなんの。締め切りが来週末なので焦る必要もなく、せめて書き出せればいいかとあらかじめハードルを低く設定しておいたのも、たぶんよかった。あっという間に2000字ほど書き上げて、いったんパソコンを閉じたのだった。
それにしても文章を書くというのは不思議な営みだ。今日のように筆が進むこともあれば、場合によってはたったの一文も浮かばないときもある。また、十分な思考を経ず見切り発車で書き始めると、書きながらに違和感がつきまとうものだから、ある瞬間にピタッと指が止まる。このまま書き進めてもどこにも着地しないというネガティブな予測が働いて、そのまますべてを消去するのがオチだ。ただ、えいやあと消去できるときはまだマシで、締め切り間近だからと強引にそのまま書き進めていった先に待っているテクストは、目も当てられない。読み返したときに強烈な脱力感に襲われる。「こんなこと書きたいわけじゃないねん」と苛立って、結局すべてを消去して一から書き直す羽目になる。とほほ。
僕のスタイルは、おおよその見通しを立てた上で書き始めて、あとは書きながらの文章が醸し出すリズムやテンポに乗っかっていきつつ、ぐいぐい書き進めるというもの。オチを決めず、だいたいの方向性を定めて書いていくと、思いもよらず道を逸れていく。で、そのズレを埋めるべくまた言葉を重ねていくとまた少し逸れていくから、そのズレをまた補う。そうこうしているうちに一つのテクストが出来上がる。
この揺らぎを伴いながら書いたテクストを読み返したときにいつも感じるのは、「そうそう、こういうことが書きたかってん!」という納得か、もしくは「なるほど、オレってそんなふうに考えていたのか…」という新発見のどちらかである。ふだんむにゃむにゃと考えていたことがかたちになるわけで、それがおおよそ想像通りか、あるいは想像を超えていたかの違いで、兎にも角にも書くのはオモシロい。
このブログもまたそうだ。こうして日々の雑感を綴る際にはほとんど見通しを立てずに書くから、書いたあとに読み返して初めて自分がかたちにしておきたかった内容がわかる。今日もそう。まさか文章を書くことの楽しさについて書くなんて思いもよらなかった。
今日は体調がすぐれず、夕方に予定されていたオンラインミーティングを休んだ。精神的な疲れがときにもたげてくるから、そうならないようにマイペースを保たなければ。こうして思いのままに文章を書くことが、なんらかの癒しになっているような気がして、だからまたちょいちょいこのブログを更新していくつもりである。