平尾剛のCANVAS DIALY

日々の雑感。思考の痕跡を残しておくために。

本・映画などなど

初ゼミと『教えないスキル ビジャレアルに学ぶ7つの人材育成術』。

今日から春学期が始まった。最初の授業は3年ゼミ。ゼミのメンバーが初めて顔を合わせる時間は、毎年のことながら少なくない緊張がともなう。ゼミ選択の際に話をしている学生がほとんどだから、どういう分野に興味があるのか、将来はどのような道に進みたい…

2020年4月15日。

オンラインでの遠隔授業の準備で日々が忙殺される。課題の設定や資料の作成、ゼミ生への連絡などなど、やるべきことが山積していて、あっという間に1日が過ぎ去ってゆく。その合間を縫って心のケアをすべく読書を進めているのだが、午前中に読み終えた『これ…

「心の速度」を落とすこと(『驚く力』から)。

暑くなったり寒くなったり台風が上陸したり。気温や気圧が乱高下する日々に身体の調子はいまひとつで、もともと季節の変わり目には鼻炎になるなどの虚弱体質であるとはいえ、このピリッとしない感じはどうしたものか。一昨日がやや深酒に過ぎたことも影響し…

『バガボンド』35巻を読む。

好天の休日に過ごす研究室もまたいい感じで、インスタントではないコーヒーを飲みながら『バガボンド』を読み返している。発売されたばかりの35巻もまた心に響く内容であった。 印象に残ったフレーズは「空っぽで満たされる」。 “内側は無限——、空っぽで全部…

『小田嶋隆のコラム道』に触発される。

日が長くなった。19時になろうとしているのに外はまだ明るい。数時間前に突然の雷雨に見舞われたここ神戸市北区。窓から吹き込む風はひんやりとしている。ゼミに講義に打ち合わせにと、忙しく動き回った今日もまたいつものように暮れようとしている。 唐突に…

ここんところで読んだ本を挙げてみました。

ここんところあらゆる分野の文献を乱読しているのであるが、あまりに乱れ打ち過ぎたせいかなんだか混乱している。いったい自分は何を知りたくて、どういったテーマで論文を書こうと目論んでいたのか。そのイメージがどうにもこうにもかすんできたので、それ…

「空気」への更なる考察(昨日の続き)。

昨日のブログを読み返す。言葉のつながりが悪くどこか思考が覚束ない様がありありと表出している文章だなと感じた。ふと練習量が足りないままに試合に臨んだときのもたつき具合を思い出し、ああそうかと得心する。やはり文章を書くことにもラグビーと同じで…

山本七平著『「空気」の研究』を読んで。

そういえば「とにかく書く」と決めていたのだった。昼食をすませたあと坂を登りながらそのことがふと思い出されてハッとなった。まず書きたいことがあってそれを言葉に置き換えていく、というよりも、まず言葉を連ねることで書きたかったことがかたち作られ…

『人間の建設』から『他者と死者』へ。

『街場の大阪論』 (新潮文庫) を買うためにぶらりと立ち寄ったジュンク堂で『人間の建設』 (新潮文庫) が目に留まる。殺伐としたタイトルに「ゲッ」となったのが正直なところだが、小林秀雄と岡潔という名前が目に入った瞬間に「オオッ」となり2冊重ねてレ…

邪悪なものよ、しずまれーい。

今まさに『邪悪なものの鎮め方 』(内田樹、木星叢書)を読んでいる影響からか、身の回りに存在する「邪悪なもの」への感度が上がっている。さほど注意を払わなくてもそこらあたりに「邪悪なもの」が存在している現実に、とても驚かされる。「邪悪なもの」が…

ダラダラとしながら最近読んだ本を顧みる。

すっかりと更新が滞ってしまったが何も今に始まったことでもないので、断りもなくさらりと書いていきたいと思う(という風に断っているのだけれど)。鼻炎続きで少しばかり体調が芳しくなかったこともあって、今日はゆったりと1日を過ごした。本日は奈良県…

美しい言葉は素敵だ~BRUTUSを読んで。

おそがけに帰り着いた昨夜。やや強い疲労感があったので、ぬるめのお風呂にゆっくり浸かることにした。この週末はよく飲んだよなあ、少し鼻炎気味なのもそのせいだろうなあ、などと考えながら湯を張り、雑誌BRUTUSを片手に湯船に浸かる。たまに銭湯に行くこ…

「共通感覚」。

『共通感覚論』(中村雄二郎 岩波現代文庫)を読んでいる。まだ第1章も読み終えていないが、哲学書というのは「想像力を馳せながらのらりくらり読むもの」だと思っているので、ほどよいペースで進んでいるものと自覚している。「臨床の知」という概念を知り…

汗だくボイジャーと『1Q84』。

エアコンが故障したままのボイジャーに乗って先ほど大学に到着。エアコンの故障は2か月ほど前に発覚したものの、あまりに高額な修理費に戦いてそのまま放置しているのである。そろそろ梅雨が明けそうな気配で、いよいよ本格的な夏が始まろうとしている。エ…

まことの「経験」とは?〜『臨床の知とは何か』

なぜだかわからないが今日は雨だと決めつけていたものだから、朝目が覚めて窓の外を見ると曇りがちながらも晴れているのに気がついて気分がよくなる。たとえ雨が降ろうとも、木曜日は研究日なので大学に行かず自宅やその周辺で本を読んだりして過ごそうと決…

福岡伸一『動的平衡』を読む。

今日も朝からいそいそと研究室に来る。ゲスト講師の手配などの事務的な仕事をやっつけた後は研究室に戻り、読みかけの本を手に取る。ここんところ読み耽っているのは『動的平衡 』(福岡伸一、木楽舎)。敷地内に建設中のスポーツ健康教育センターからの“と…

『ラグビークリニック』に載ってます!

静けさが広がる体育館の2階で、外の雨を恨めしげに見ながら書き始めてみた。土曜日に研究室であれこれするのがここんところの定番な過ごし方になっていて、つい先ほど月曜日の講義の準備が終わってほっと一息ついている。いつもスーツなウィークデイとは違…

『20世紀少年』を大人買いする。

講義初回のガイダンスが一通り終了。 今年度は週に6コマ。昨年度よりもコマ数が増えたので準備が大変ではある。 でもそれよりも大変なのは、やはり顔と名前を覚えること。 自分の名前が覚えられていないときの学生のリアクションは心にこたえる。 だからなる…

『街場の大阪論』は素敵だ。

出張ウィークの最中、旅のお供として持ち歩いていたのが『街場の大阪論 』(江弘毅著、バジリコ)である。つま恋に出発する前日に著者である江さんからメールが入り、そのメールを見て「そういえば今日が発売日やった」と思い出してすぐに書店に走り、購入。…

冬の菅平に行って参ります。

そう言えば昨日はバレンタインデーだった。 そのことに気付かないままに一日を過ごせたのは、まあそういうことである。 今晩からスキー実習のために菅平へ行く。さあ荷作りをしようと思い立つも1週間ほどの荷物を詰め込むバッグを持っていないことに気付いた…

『街場の教育論』には汲みつくせないほどの知が詰まっている。

「おいおいおいおい、もうすぐ今年も終わりやん」の12月である。やたら寒くなったなあと思ったらまたちょっと温かくなったりして、行きつ戻りつの季節感の中をあくせく生きてるうちにあっという間に12月を迎えたわけであった。読みたい本がどんどん発売…

他者性を毀損しないために。

AO入試の2次面接のために今日は朝から大学に来る。土曜日に大学の研究室にいることは少ないのでなんだか不思議な気分だ。ここんところ朝晩はめっきり涼しくなったなあと感じていたけれど日中はそれなりにまだ暑く、いつも昼食をとる喫茶店【さんふらわあ…

「仁義なき戦い」にハマるの巻。

ようやく、やっと、今ごろになって、今更ながらに「仁義なき戦い」を見た。まだ「広島死闘編」「代理戦争」までしか見ていないのに、もうすでに広島弁が頭ん中をぐるぐると回っている。つまりすっかりとハマっているのである。ああ、なぜにこれまで見なかっ…

『ニッポン辺境論』on NHK radioを聴いて。

つい先ほどまでAMラジオを聴いていた。 NHK第二で放送された内田先生の『ニッポン辺境論』である。 今のニッポンでは、政治の腐敗、医療の崩壊、教育不全が問題となっており、それらの事件を報道するメディアが誠にチープな物語を編み続けている。 現場で…

『ねじまき鳥クロニクル』と一冊の本について。

さっそく読み始めた『ねじまき鳥クロニクル』。 まだ「第一部泥棒かささぎ編」の途中なんだけど、 なんとも奇妙な感じを覚えている。 奇妙な感じというのはどこか懐かしさに似たような感じというのか、 若かりし頃に読んだことがあるかのような「既視感」を…

『バカにならない読書術』を読んで。

連休明けの今日は事務所に出勤。 朝起きてすぐに干しっぱなしにしていたおかげでびしょびしょになった洗濯物を取り入れるというサイアクの目覚めではあったが、何とか気を取り直して家を出たのであった。 家を出る直前にふと目についてカバンに放り込んだ「…

『合気道とラグビーを貫くもの』近日発売。

昨夜は寝る前に「シリアナ」を見たせいで思考の導火線に火が点いてしまってどうにも寝付きが悪く、朝目覚めたときに頭がボーッとする感じが強くてすかさず二度寝を敢行。その二度寝をするときも、「あっ、そう言えばワールドカップ初戦のフランスとアルゼン…

『私の身体は頭がいい』が文庫化するにあたり。

私の身体は頭がいい (文春文庫 う 19-2)作者: 内田 樹出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2007/09/04メディア: 文庫 『私の身体は頭がいい』との出会いがあったから今の僕がある。ということは、これまでにここで何度も書き続け、酒に酔えば必ずといっていい…

『私家版・ユダヤ文化論』が小林秀雄賞に!

私家版・ユダヤ文化論 (文春新書) 作者: 内田 樹 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2006/07 メディア: 新書 先日、内田樹先生の『私家版・ユダヤ文化論』(文春新書)が小林秀雄賞を受賞された。青山同志のブログを読んで感涙にむせび、すぐさまお祝いの…