平尾剛のCANVAS DIALY

日々の雑感。思考の痕跡を残しておくために。

『私の身体は頭がいい』が文庫化するにあたり。

私の身体は頭がいい (文春文庫 う 19-2)

私の身体は頭がいい (文春文庫 う 19-2)

  • 作者: 内田 樹
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2007/09/04
  • メディア: 文庫

私の身体は頭がいい』との出会いがあったから今の僕がある。
ということは、これまでにここで何度も書き続け、酒に酔えば必ずといっていいほどに口にしてきた。根源的な思考へと無意識的に誘われて、目の前にかかる靄が一気に晴れてゆく爽快さを僕に与えてくれたこの一冊の本が、このたびこの9月に文藝春秋より文庫化されることになった。そして、文庫化されるにあたっては僕が解説を書かせていただいている。

「本を解説する」というよりは、僕自身がこの本に抱いている想いのままに、私的なストーリーをツラツラと書いているだけである。実のところ、この『私の身体は頭がいい』にはいかに奥行きがあって、著者である内田先生のことをどれだけ慕っていて、ラガーマンとしての僕がこの本に惹かれた理由について、思うがままに筆を滑らせてみただけなのである。

なんていうことを書けば、そんな軽薄な態度でよろしいのかと突っ込まれる方がいるかもしれないが、決してそんなわけはない、はずだ。

内田先生から解説の依頼をいただいたとき、それはそれは喜んだ。
はしゃぎ回った。
自慢しまくった。
これまでの単調な思考フレームが音を立てて崩れ去るきっかけとなった本の解説を、まさか僕が書かせてもらうことになるなんて夢にも思わなかったし、それよりもなによりも、まさか著者である内田先生本人と直接お会いすることができて、お酒を飲みながら卓を囲むようになるなんてことが今でもかんたんには信じられない出来事なのだから、偶然が幾重にも重なって編まれたこの物語を、ツラツラと書かずにはいられなかったのが正直なところなのである。
解説も読んでみてほしいところなのだが、それよりもいくつかの原稿を追加した文庫版を隅々まで堪能して欲しいと思う。「非中枢的身体論」はもちろん、「天下無敵」についての論考はエキサイティングすぎて思わず笑いがこみ上げてくること間違いなし!「天下無敵」の意味を知れば、おそらくはちょっと生き方が変わるほどの衝撃を受けるだろう。そして、これはちょっとした自慢になるけれど、一度もスクラムを組んだことがないにもかかわらずスクラムに対して思うところを書いた身体観測のコラムについて、内田先生がその内容をより丁寧に深く考察して下さっている箇所もある。「そうそう、僕の言いたかったことはそれやってん」と気づかせてもらって、またまた師匠に向かって合掌する僕なのである。

ぜひぜひ手にとってふむふむとうなって欲しいなあ。
あっ、まず先に解説から読んでね(笑)。