平尾剛のCANVAS DIALY

日々の雑感。思考の痕跡を残しておくために。

「第6回ラグビーワールドカップ開幕」身体観測第32回目

ラグビーW杯が9月7日にフランスにて開幕する。翌日の8日には我らがジャパンの初戦が予定されており、今年で6回目となるW杯史上唯一、二度の優勝経験を誇る強豪オーストラリアと戦う。ジャパンは第1回からすべて出場しているとはいえ、第2回大会でジンバブエからあげた1勝のみ。明らかに格上チームとの戦い、さらにはラグビーが他のスポーツと比べて番狂わせが少ないことを勘案すれば、期待と不安が入り交じる複雑な心境である。

ラグビー日本代表には5名の外国人選手が名を連ねている。おそらく、国の代表チームに外国籍の選手が在籍していることを疑問に感じた人は多いだろう。ラグビーにおける代表資格は、その国に生まれた選手はもちろん、外国人選手として3年以上その国でプレーする選手にも与えられる。ただし条件があって、過去に一度でも他国の代表に選ばれていてはいけない。つまり、二つの国にまたがることはできないが、生まれた国ではなくプレーしている国において代表資格が得られるのである。

ジャパンを率いるのは、ラグビー日本代表ではほとんど初の外国人監督となる、ニュージーランド出身のJ.カーワンである。大きなみどころは、ジャパンが勝てない理由の一つである体格の差をどのように克服し、いかにして戦術につなげていくのかにある。監督就任以後、ディフェンス面が飛躍的に改善されたように見受けられるが、つい先日行われたイタリアとの試合からは少々のもたつき感を抱くのも否めない。だが、前回大会では、大会直前の試合内容から劣勢確実と予測されたにもかかわらず、いざ蓋を開けてみればスコットランド、フランスという格上チーム相手に、負けはしたものの素晴らしい試合を繰り広げたのは記憶に新しい。

フィジーウェールズ、カナダと続く本戦では、監督の手腕によって一つのチームになったジャパンの戦い振りが見たいと、やはり大いに期待している。

<07/09/04毎日新聞掲載>