平尾剛のCANVAS DIALY

日々の雑感。思考の痕跡を残しておくために。

『悪果』と拙著とアルゼンチン。

青山さんのブログを読んで購入を即決。
(詳しくは→http://yummyao.at.webry.info/200709/article_27.html
さっそく明日は本屋に走ろう。
青山さん、オモシロ本を教えて下さり、いつもいつもありがとうございます。

明後日に控える楽しげな宴までの読了を試みてみるが、どうやらそれは難しそうだ。っていうのは、本日、夏休み明けの秋学期初ゼミにて修士論文の稚拙な箇所が露わになり、さらには進度にいささかの停滞感を覚えたからである。
だがしかし、ゼミがついさっきまでということで、さっきの今だからその焦燥感がまだイキイキと心に残っているがためにそう感じるだけかもしれず、もしかするといざ読み始めてしまえばそのオモシロさを放ってはおけずにたとえ論文を後回しにしてまでもどっぷりとはまってしまうこともあるやもしれぬ。
「あるやもしれぬ」ではなくて、青山さんがブログを伝言板にしてまでもオススメしてくれているのだからきっとそうなるのであろう。
そうなってしまえば、来週のゼミにて再び山根先生からは「なーんか、前にも同じような文章を読んだ気がするなあ」と突っ込みを入れられるのは確実で、いやはやどうしたものかを悩む。

まっ、とにもかくにもまずはページを開いて読み始めてみよう。
「なるようになってしまえー」である。あまりに鼻血ブーな内容に僕が覚醒することを心の底で期待しつつ、黒川博行著『悪果』、読みます。

内田先生との共著なのでどうにも「拙著」と言うのは憚られるのであるが、『拙著」が世間に出回っているここんところは、どうにも落ち着かない日々を過ごしている。2度3度、いや3度4度、いやいや5度6度は読み返した「拙著」は、所々で平尾は何を言おうとしているのかがわからないし、いや僕にはわかり過ぎるくらいわかるのだが、おそらく皆の衆は理解不能であろうなと予測される書き方の文章を発見しては、凹んでいる。
なので、「拙著」を読んで欲しいなと望む自分の気持ちの75%を占めているのは、内田先生が話している箇所についてなのである。

しかし、この75%という数字がまた微妙な心模様を写し出していて、裏を返せば25%は僕が話している箇所も読んで欲しいと願っており、そうして願っている自分の気持ちをきちんと把握している「僕」も、確実に自覚している。

イマイチ話にキレのない平尾と、その平尾に向き合って凹むヒラオと、細かいことはまあええやんと開き直るひらおとが入り交じっているとでも言うべきか。

なんやようわからんが、とにかく変な感じなのである。
早く忘れよう。本を出したからといって僕の何が変わるわけでもない。

気持ちを切り替えるべく話は変わってラグビーワールドカップの話題。

昨夜は眠たい目を擦ってアルゼンチン対アイルランドを観た。
キック主体のゲームメイクは本来ならば観ていてもエキサイティングな試合になりにくく、スローなテンポで試合が進むために個人的には好きではなかったのだが、昨夜のアルゼンチンの戦い振りを観てその考え方をちょっとだけ修正する決意をする。噂に違わぬアルゼンチンの試合、キック主体であってもめちゃくちゃオモシロいではないか。

エルナンデスのドロップゴールは、なぜだかわからないが観ていて惚れ惚れする。
いやいやドロップゴールに限らずとも、すべてのプレーに目が奪われる。
それは、キックが正確であるとか、ハイボールのキャッチがうまいとか、随所にラグビーセンスが感じられるとかという風に、一部を切り取って褒めるなんてことはできず、とにかくすべてに洗練された印象を受けるのである。
言うなれば、彼自身の周辺を流れている時間が、周りのプレーヤーよりもゆっくりであるという感じだろうか。なぜだか彼のプレーだけが妙にスローに見える。

戦い振りからは風格すら漂うアルゼンチンが、わずかな隙間をこじ開けようと躍起になっているアイルランドを、30-15で撃破。
アイルランドに勝利したことで予選プールを1位で通過することになり、決勝トーナメント1回戦ではスコットランドと対戦する。
油断は禁物ではあるが、昨夜の戦い振りからすればおそらくスコットランドはアルゼンチンに歯が立たないように感じる。
となればアルゼンチンはベスト4に進出である。
こうした展開になることを、大会が始まる前に誰が予想しただろうか。

ラグビーは大きな番狂わせが少ないスポーツだと言われる。
アルゼンチンの躍進振りについては大会前から話題に上っていたにしても、まさかここまでの戦い振りをするとは誰も思わなかっただろう。
だが、決勝トーナメントを前にして、強烈なファンタジスタ擁するアルゼンチンが第6回ワールドカップに大きな風穴を開けようとしている。
僕は昔からオールブラックスが好きで、毎回本命視されながらも優勝できないでいる、その愛嬌も含めて愛着がある。なので、この両チームが決勝で相まみえることを心より期待しながら、決勝トーナメントの各試合を堪能しようと思う。

そして優勝国はどっちに期待しよう?!

ラグビーを観ることが現役時代よりも確実にオモシロく感じられる。
とても楽しみだ。