平尾剛のCANVAS DIALY

日々の雑感。思考の痕跡を残しておくために。

神戸製鋼開幕戦勝利を皇子山で知ったこと。

今日も朝からいそいそと書き続けている。
左側から差し込んでくる陽の光を感じながら書いている。いつものことだが。
だけど書いているのは修士論文ではなく、かわいい教え子からの頼まれ事であったり、昨日行われたSCIX高校生の試合レポートであったり(→http://www.scix.org/rfc_index.html)するのだが、とにもかくにも気分がよろしいのは、何を隠そう神戸製鋼コベルコスティーラーズが開幕戦に勝利したからだ。

実を言うと、現役を退いてから初めてのシーズンに何とも言えないものを感じていた。現役生活残り2シーズンはメンバリングの俎上にのぼらないこともあり、自チームの試合を観戦することにはほとんど抵抗がなくなっていたものの、競技場に足を運ぶ義務がなくなったというのは、やはりどこか違和感があった。
神戸製鋼に入ってからの8年間は同じようなサイクルでラグビーに取り組んできたわけだから、まあそう感じてもおかしくはないだろう。
というより、やっぱり心の奥底には名残惜しさがあったことに気付かされたのだな、うん。
そんなだから、何となしに開幕戦には足を運ぼうと決めていて、SCIXの試合と重なって叶わぬことになったのは少しばかり残念だったが、今振り返ってみればそれはそれでよかったことのように思う。
僕の立ち位置がはっきりとわかったというか、わからせてもらったというか何というか。

昨日のSCIXの試合は、滋賀県皇子山陸上競技場で行われた。
膳所高校にお声をかけていただいて第23回大津市ラグビー祭での試合が実現したのである。
12-22で負けはしたものの随所に好プレーが見られて、後半最後の怒濤の攻撃には思わず声を出してしまうほどに興奮。そしてニンマリ。

ちなみに膳所高校顧問のウエダ先生は内田樹先生の著書を読まれており、この日はお会いして開口一番に『私家版・ユダヤ文化論』を読んでいるんですと仰られて、しばしその話に興じることにもなった。内田先生のことであれば、いくらでも話すことができるのであるが、いかんせん試合前ということで自重することにしたのであった。

帰りの電車の中で一人の生徒と一緒になり、彼と色々な話をしているうちに、本当に純粋にラグビーをしていることが実感として突き付けられた。そして、そんな彼を直接指導する立場にいるのがこの僕であり、これって実は、過去の僕が想い描いていたイメージそのものの中に、今の僕がいることに他ならないわけで、当たり前に流れゆく時間の中でこれほど充実した環境に置かれていることをすっかりと失念していることにハッと気付かされたのであった。

SCIXのみんなは本当にうまくなっていると思う。
彼ら自身は気付いていないようだけれど、確実に上達している。
電車の彼は、つらくて厳しい練習が上達を促すと思っていたようだけれど、そんなことはない。大きなストレスがかかり、それを乗り越えるために身体がレベルアップすることは確かにある。そうすると、短期的にはパフォーマンスが上がるかもしれないが、いつかは燃え尽きるか、飽きがくる。

しごきだとかしんどい練習を無理矢理こなさなくても上達することができるということを、彼が、または彼らがSCIXを卒業するときに実感させてあげたいという気持ちである。今はまだ何にも知らずのほほんとプレーしておけばいい。お気楽なプレーに邁進してればいいと思うし、できればそうして欲しい。リールに引かれるように、身体が動きたいように動いておけばいい。いつか必ずわかるときがくるからさー。

無責任な感じに放り投げた感じだけれど、僕としてはぜんぜん無責任だとは感じていない。責任逃れ?ま、そういうことにしておきましょか。

なんかようわからんようになったけれど、とにかく神戸製鋼コベルコスティーラーズ初戦勝利に乾杯しておいて、これからもせっせとラグビー観戦に励もうと思う。そして感じたことをSCIXのヤツらに教えてやろう。ふふっ。