平尾剛のCANVAS DIALY

日々の雑感。思考の痕跡を残しておくために。

暮れの元気なご挨拶。

2007年も残すところあと数時間で終わる。
ざっと振り返ってみても、今年は僕にとって転機の年だったと思う。

まずは現役引退。
中1から始めて19年間ものあいだ全うしてきたラグビー現役選手から退いた。
全うしてきたというか、凝り固まった意志の元にやってきたわけではなく、辞める理由がなかったからここまで続けてこられたのだと思う。

そもそもラグビーを始めたきっかけが曖昧で、中学に入って最初に入部したのはバスケットボール部だった。
小学校の時にミニバスをしていたせいもあり、自然な流れでバスケ部に入ったものの、練習を中止してビリヤードに行くようなキャプテンに辟易としてこのまま続けようかどうか迷っていたところに、仲の良かったチャリンコ通学仲間のラグビー部の友だちに誘われて体験入部したのである。
「体験」であったはずがそのまま入部する羽目となった。

というわけでみんなとは半年遅れの入部。
当然の如く同級生からは半年分だけ出遅れた格好となり、スクリューパスがなかなかできずに「くそー」と意地になっていたことが思い出される。
それに、同級生のオオハシとタイラが1年生にもかかわらず上のチームで試合に出ていたことに「負けてられんな」とライバル心を燃やしたこともあって、辞めるわけにはいかなくなったのである。

とまあ、ラグビーを始めたのは周りの呼びかけに乗っただけのことなので、高校に上がるときも大学に上がるときも、ちょびっとだけ「違うスポーツやろかな」という浮気心を抱いたのは仕方のないところだろう。
それでもラグビーから離れられなかったのは、うん、そう、やっぱり、そうそう、オモシロかったからやろうなあ。

社会人になるときには、一線でやるのではなく仕事をしながらラグビーしようと一度は決意しながらも、その1年後には会社を辞めてまでしてまたラグビーの一線に舞い戻ることになる。
このときもまた周りの人の呼びかけに応じたのだった。

そして、ラグビーを辞めるときも、脳震盪の後遺症というケガが原因で辞めざるを得なくなったのだから、よくよく考えてみれば、僕は何一つ自分で決めることなくラグビーに関わり続けていたのだなあと、しみじみ思う。
これを運命というか、それともただの優柔不断な生き方が生んだだけなのかは、たぶんこれからの生き方で決まってくるのだと思うな、うん。

現役を引退したあとはSCIXラグビークラブでお世話になることになり、
今では元気に中学生と高校生にラグビーを教えている。
これがまたオモシロくてオモシロくてたまらん。
もちろんしんどいこともあるけれど、そのしんどさも含めてこれまたオモシロイ。
楽である、とか、エキサイティングである、という意味の面白さではなくて、
全身全霊をかけられることへの悦びというかなんというか。
これまでの経験と知識をフル稼働させなければ立ち行かないぞ、という実感は幸せ以外の何ものでもなく、本気になれるのは相当に心地よい。

といってもコーチを始めてまだ1年足らず。
これからの道のりにはいろいろな問題が待っているだろう。
これまでずっとSCIXで指導されてきた武藤、綾城コーチの指導を仰ぎながら、
着実に歩んでいきたいと思う。

さらに今年のびっくりニュースとしては、
合気道ラグビーを貫くもの』という本を朝日新書から出させていただいたことが挙げられる。
2006年12月に朝日カルチャーセンターで、敬愛する内田先生との対談という夢のような時間を過ごさせてもらったことは昨年のびっくりニュースではあったが、なんとその講座内容が本になって朝日新書から発売されるという、いわく説明しがたいほどの仰天な事態に、この年の瀬になっても現実なのに現実でないような錯覚から逃れられないでいる。

僕には著書がある、うーんいい響き(笑)。

昨年の今頃はまだ現役選手だったこともあり、練習のためにグランドへ足を運んでいた。とは言え、引退することを決意し、チームにもそれを伝えていたこともあって、一人静かな調整のみではあったけれども、それでもチームの一員であったことには変わりない。チームメイトが汗を流す姿を見つめ、試合内容に一喜一憂していたことが思い出される。

そんなあの頃の僕には、今年1年に起こったあんなことやこんなことは想像できなかったもんなあ。
まさか著書を出すとはねー(っと、出版されるという話は既に聞いていたのだが、実感が全く伴わなかったのでどこか夢見心地だったのである)。

まあ何はともあれ無事に年を越せることに胸を撫で下ろしている。
2008年はいったいどんな年になるのだろうか。
4月から神戸親和女子大学で先生をすることが決まっているので、どんな展開になるのか全く想像できないのも無理はないだろう。
おそらくブログでぶつくさ言いながら毎日を過ごしているに違いないが、
とにかく楽しそうに振る舞いながらやっていこうとは思っている。

というわけで、みなさま、
今年も拙ブログにお付き合いいただきまして誠にありがとうございました。
来年も「普通そんな細かいことは深く考えへんやろ」というツッコミが入れられるような内容の文章を、書き殴って参ります。
ですので、殴られても構わないよといった寛大な心を持って読んでいただければ、
これ幸いかと存じます。
殴られるのがいやな方は是非とも読まずにお立ち去り下さい(笑)。

また来年もよろしゅうお願い申し上げます。
どうぞ良いお年をお迎え下さい。