平尾剛のCANVAS DIALY

日々の雑感。思考の痕跡を残しておくために。

「まだ2割」を追いかけて。

論文提出日まで2週間を切った。
その出来具合はと訊かれれば8割と答えるだろう。
そうなのだ、「まだ2割」も残っているのである。

この「まだ2割」というのがなかなか厄介で、
仕上げにかかってからのこの1ヶ月くらいの間中ずっとそう感じている。
字数的にはクリアしている。しかし「まだ2割」が意味するのはそういった量的なものではなくあくまでも僕の中の実感でしかない。

書けども書けども「まだ2割」が残る。
読み返して部分的に内容を膨らませても「まだ2割」足りない。
どこかしっくりこない言い回しを修正してもただいたずらに字数だけが増える。
こうしたことに焦れば焦るほど「まだ2割」はその存在を強めていく。

うーん、にっちもさっちも、なのである。

「まだ2割」の正体を探るべく自分の書いた論文を頭から読み返してみると、
総じてオモシロいなあと感じるものの、無理筋な論理やことば足らずなことばがあちらこちらでみつかり、「まだ2割」は3割にも4割にも膨らみかける。
イラッとして手当たり次第書き直してやろうかという凶行に及びそうになるもそんな度胸があるはずもなく、そんな時はすかさずベッドにもぐり込んでやり過ごしている。

いつになったら満足できるのやら、とほほ。

というか、この「いつになったら満足できるのか」という姿勢がアカンのよね、きっと。「満足できる」という思い込みがそもそもの間違いで、100%の満足が得られるということが意味するのは、今の自分であっても過不足なく理解できる内容であるということ。ということは、論文を書き始めた頃の自分と今の自分が全くもって同じでなければ、満足するなんてことが起こり得るはずもない。
無時間的に一気に書き切ることが不可能であるからには、「まだ2割」というものは永遠に追いかけ続けなければならないものなのだろう。

そもそも考えてみれば、これまで勉強という勉強をせずにラグビーばっかりやってきた人間が、たった2年間の研究で満足する修士論文を書けるはずもないよな。
「オレは満足するものが書ける」と調子に乗っていたっていうことか。
なるほど、そう言うことね。

「この部分はちょっと言いたいこととは違うし、もうちょっと踏み込みたいけれども前後のバランスからちょっとそれは頂けない気もするし、でももしそこを膨らませて論じるとすれば次の章のこの部分についても補足せなアカンよなあ」
とぶつぶつ考えながら明日も書くことにしよう。

って言いつつ、明日はホームズスタジアムで神戸製鋼vsトヨタの試合観戦だ。
両チームにとってベスト4に残れるかどうかの瀬戸際の試合やから、
応援にも熱が入るってなもんだ。
合気道ラグビーを貫くもの』の中でも触れた、武道的な動きをしていると僕が勝手に捉えている正面選手がトヨタスタンドオフとして出場するようである。
神戸製鋼側からすれば彼の活躍は好ましくないので、あくまでも個人的に彼のプレーぶりに対して熱い視線を送ることにする。
然るに明日は、正面選手が何度もラインブレークをしたにもかかわらず、神戸製鋼が勝利するという展開が理想だな。
まあそんなにうまく事が運ぶはずはないだろうけれども。