平尾剛のCANVAS DIALY

日々の雑感。思考の痕跡を残しておくために。

旅立ちの春と【いく亭】。

朝ご飯を食べようとしたときに食パンを切らしていることに気付いて、

寝ぼけ眼でトボトボと歩いた駅前にあるパン屋さんまでの道中で春を感じた。

まだまだ寒いのだがどことなく温かく感じるあの春の気配は、日差しの傾き加減や空気の澄み具合やスズメのちゅんちゅんという泣き声や駅に向かう人たちの歩く速度などから伝わってくる。

春がやってきた。

昼下がりになると突然おそいかかってくる睡魔もまた春の風物詩である。

ああ眠い。

季節の変わり目になると体調がおかしくなる僕なのでそろそろぐずついてもいい頃なのになんだかとても元気だ。アルコール頻度が少々高まっているこの頃なのにそれでも元気なのはいいお酒が飲めている証拠だろう。

それでもいつもいつも楽しいお酒になるとは限らないのだから、今日がのんびりと快活なのはなによりも昨日が特にいいお酒だったからだ。

ここんところの飲み&食べの7割が阪神御影駅すぐの【いく亭】はもちろんメシもうまいが話も早い。

こぢんまりとした店内を所狭しと動き回る元気なおねえちゃんとの掛け合いも込みでおいしい【いく亭】は確実にマイブームなのだ。

鰺のたたきに鰤カマ塩焼きをアテに熱燗をクイッといく。

あいだに挟む自家製のポテトサラダがこれまた美味。

ハモ皮とキューリの酢の物でつなぎつつ穴子の天ぷらにパクついて、

ピリ辛焼きうどんに濃厚なカレーとナンでしめる。

これが昨日。

フライデーナイトで混み合った店内もなんのその。

よく食う隣の客と肩を寄せ合いながら話す話に花が咲かないわけがない。

いやいや、花が咲くと言うよりも重厚に折り重ねられていく内容に思わず身を乗り出してのめり込むといった感じか。

話を重ねていく中で加速度的に増してゆくあのドライブ感に乗せられて口をついたことばに自分自身がハッと気づかされることもしばしばある。

「オレってばそんなことを考えていたのね」という気づきはとても新鮮だ。

そいつを前にしたからこそ交わすことができたことばに自分自身で何かを得る。

聴き入れてくれるという安心感があるから初めてことばにできる想いはおそらく誰の心にも確実にあって、ことばになったことで初めてその想いの存在に気づくことができるからこそ自分の口から出たことばを新鮮に感じて何かを得ることができるのだろう。そうして得た何かを端的にことばで表すことはできないにしても確実に何かを得たのは確かだ。いつか腑に落ちる時がくるのを楽しみにしておこう。

さて、今日はSCIXの練習日。関大一中との合同練習が予定されている。

よそ行きの練習をするのではなくいつも通りSCIX流の練習をすることにしよう。

練習後はSCIX卒業生のための「お別れ会」がある。

まがりなりにも一年間を指導してきた身としては少々感慨深いものがある。

今日もとても楽しそうな一日が待っている。

おっともう一日は始まっているのだった。