平尾剛のCANVAS DIALY

日々の雑感。思考の痕跡を残しておくために。

「親和行事」を終えて。

ホントに久しぶりの更新である。

バタバタと忙しかったのは確かに事実ではあるが
たとえ忙しくともそれを更新できなかったことの言い訳にはしまいと心に決めているので、

言い訳は、しない。

というようなことはこれまでに何度も書き殴ってきたから今更なんだけれども、
こうしてタラタラ「言い訳」しないと、
サボタージュ明けのブログをスムースに書き始めることができないのである。

さてと。

ゴールデンウィークが終わってすぐの先週末に「親和行事」があった。
「親和行事」とは、1回生がお互いに親睦を深める目的で行われるオリエンテーション旅行のことである。
学科ごとに行く先は異なり、
ジュニアスポーツ教育学科は大阪府泉南郡にある青少年海洋センターへ。
1
日目はヨット実習にキャンプファイヤー2日目はロープワークにカレー作り。
2
日目があいにくの雨だったので
やむなくカッター実習を取りやめなければならなかったのは残念だったけれど、
屋根のあるところなので大丈夫だろうと強行したカレー作りは、
横殴りの雨にさらされ、しかも気温の低さが後押しして
むっちゃくちゃ寒かったにもかかわらず、
あれだけ元気に積極的に取り組んでいたのが、

とても微笑ましく思えたのであった。
同じ釜の飯を食い、一つ屋根の下で寝て、いろいろなイベントを共に行えば、
自然と仲間同士の結束は固まるもの。
少々寒くても、カレーが水っぽくても、まあよしである。

学生同士のみならず、教員同士もそうだし、
教員と学生の距離も近づいたような気がして僕自身はホッとしている。
学生の顔と名前を覚えないといけないと思いつつも、
なかなか顔と名前が一致しないのが正直なところである。
入学してから1カ月以上が経過しようとしている今になっても、
まだ学科すべての学生の顔と名前が一致しない。
これではいけないと思いながらもなかなかである。

写真と名前を照らし合わせてデジタル的に暗記しようと思っても
僕はどうやら無理のような感じである。
おそらく僕は記憶力がよくないのだろう。
どうしたって覚えることができない。

だけど、講義の前後に話をしたり、
学内でたまたま出くわして立ち話をしたりした学生の顔と名前は
いつの間にか覚えている。
「高校1年生のときに膝の怪我をして今も痛いんです」とか、
丹波篠山から2時間かけて通っています」とか、
「私たちは高校時代に対戦して負けました(勝ちました)」と話すバスケ部二人とか、
もちろん見た目で覚えることのできる特徴的な学生もたくさんいるけれど、
こうして直接的に言葉を交わすことでいつ覚えたともなく覚えることができる。

ラグビーという、どちらかといえばラフでわかりやすさに満ち溢れていた世界とは異なり、
大学の先生という立場は人との接し方にこれまでとは違った繊細さが求められる。
男ばかりの世界にどっぷり浸かってきた僕だからこそ、
女子学生を前にしてそう感じるのかもしれない。
でもなんとなくだけど、
僕が認識している「これまでとは違った繊細さ」とは、
男と女の違いからくるというよりも(もちろんそれもあるんだろうけれど)
教育する立場の人間に求められる感受性みたいなものなんじゃないかなと思っている。

この繊細さには「強さ」も含まれている。
繊細さの深奥には強固な意志を伴った「強さ」がある。
自己を顕示するのが強さではないと僕は思っていて、
どこまで繊細でいられるかによってその「強さ」が際立ってくる。
そして、人が人に惹かれるのは、この「強さ」なんだろうなと思うのである。