平尾剛のCANVAS DIALY

日々の雑感。思考の痕跡を残しておくために。

みなさまへの御礼と報告がひとつ。

僕がぐるぐるしながら悩みをダラダラと書いたブログを読んで励ましのコメントをくれる方々がいる。また、こちらの様子を窺うように携帯メールを送ってくれる友がいる。本当にうれしい限りである。だからと言ってこれからも「野放図に」悩みを書き連ねることはしないけれど、そうした方々の温かな気持ちに触れてどうにかこうにか吹っ切れた感が今はある。

みなさま本当にありがとう。とても助かりました。今自分が置かれている立場の中で何事も解決しなければならないんだと勝手に思い込んでグツグツと煮詰まっていた心に、外部に通ずる通り道ができて、その通り道をさわやかな風が吹き抜けている。今はそんな心模様です。「こうあらねばならない」という枠を取っ払って、とにもかくにもぼちぼちとやっていこうと思います。

さて、一つ報告を。

このたび龍谷大学レーニングセンター主催講演会で講師を務めさせていただくことになりました。テーマは「スポーツがもたらすもの~トレーニングと身体運用の可能性」。これまでのラグビー選手としての経験をもとに、現在細々と取り組んでいる研究内容も交えて話そうと思っています。今まさにクラブ活動に没頭中の大学生が僕の話を聞いてどんな新しい発見をするのだろう。そんなことを想像しながら、自分自身がこれまで歩んできた道を振り返って話す内容を整理しています。科学的なるものが瀰漫しているスポーツ界に少し異なる角度から切り込んだ話をするつもりで、幾度となく経験した怪我による戦線離脱から学んだ心構えの大切さや、物語の設定によって身体の秘める可能性は開花するんだということ、それに生きていく上で必要な身体能力のほとんどは数値化され得ないものだということを、話を聞いた後に実感してもらえればなあと、そんなことを考えています。
(詳しくは…http://www.ryukoku.ac.jp/campuslife/training/info/090203.html

さて、いよいよ明日で講義も終了。大学教員1年目の今年は、思い出すだけでも恥ずかしくなるような講義の進め方に反省しきり。人にものを教えるのもたくさんの人前で話をするのも、こんなに難しいものだとは思ってもみなかった。ある程度の難しさは想像していたんだけれども、実際に教壇に立ってみたら自分の想像がどれほど甘いものだったのかに気づかされたのだった。講義の準備も話し方も、まだまだ勉強しなければならないことがたくさんある。研究にだってもっと集中して取り組まなくてはならないだろう。「しなければならない」ことの連続であるにもかかわらずそれでも気鬱にならないのは、教育することにも講義をすることにも楽しさを感じ始めているからだろうと思う。どこか自分でもコツを掴みかけているような実感もあり、何を話して、どこで質問をはさんで、このあたりに少し考えさせる間をとろうなどと画策しながら話を組み立てることがなんだか楽しいのである。

講義であっても単なる立ち話であっても自分の話が相手に伝わればうれしいし、だから伝えるための努力はいつの時も放棄してはならないだろう。どこまでも相手に合わせるという姿勢でいるのではなく、こちらが伝えたいこともしくは伝えなければならないことをどれほど魅力的に語ることができるのかに挑戦しようと思う。講義をする心構えとしてしばらくのあいだ挑戦し続けようと思う。