平尾剛のCANVAS DIALY

日々の雑感。思考の痕跡を残しておくために。

お盆明けの宴と試合。明日は対談。

お盆休みを終えてまたいつものペースが戻りつつある。とは言ってもまだ授業がないので気持ち的にはとてもリラックスした毎日である。落ち着いてものごとを考えてみる気力が湧いてきているのがとても心地よい。

お盆休みの締めは中津にあるTODO O MUNDO】(トドムンド)での宴。
「こいつはお酒ばっかり飲んでるなあ」と思われるかもしれないが、ほとんどその通りなのは僕も否定しがたいところだが、ただ言い訳をさせてもらえるならば酒場での話を意識的に書いている節があることだけは断わっておきたい(いったい誰に?)。飲むときは飲むし、飲まない時は飲まない。ただそれだけの話なのである。しかし、お酒の席がもたらしてくれるどこか心の芯が温まるようなあの感じは、確実に僕を書くという行為に誘ってくれる。だから酒ずくしなブログになってしまう。たぶん今日もそうなる予感あり。

あの日のメンツは、中学高校からの悪友、とは言ってもともに酒を飲むようになったのは最近のタケローと、何から何までいただきっぱなしのアオヤマさんと、店主でもありタケローの師匠でもあるマルタニさん。このメンバーで飲んだのだからご機嫌でないわけがない。マルタニさんがブログに書いているように、共通の話題とそれぞれに固有な物語が絶妙のタイミングで交わり合う心地よさを感じながらワインを5本あける。それまでにも生ビールを連打していたのですっかりと泥酔。夜が更けていくという感覚が消え失せ、最終電車の時間を気にしてソワソワすることも早い段階で放棄。酔った、あー酔ったさ。

意味のあることばかりに曝されて、それは社会で生きていく上で必要不可欠なことだから不可避なんだけれども、そうした営みの中で蓄積されていくあまり好ましくない「何か」は心の底に確実に広がっていく。身体に重しをかけられたように動きが鈍くなり、思考が散逸していくような感覚がそこにはあって、その「何か」が蓄積され過ぎると「このままではアカン」という漠然とした危機感が襲う。身体が「おい、そろそろガス抜きしてくれや」というシグナルを発し、それを察知したときに行きたくなるお店が【TODO O MUNDO】である。それはもちろんマルタニさんとアオヤマさんとタケローというメンツを含みこんだ【TODO O MUNDO】ということだ。

いつも感じることだけれども、あの場で得られるのは僕はやはり体育会的な人間であるという紛れもない実感である。それはつまり自分があまりにものごとを知らないという事実を突きつけられるということと表裏一体の感覚なんだけれど、とにかくそうした実感が得られる。こうした感覚は、体育会的なノリに少しばかり距離を置こうとしている昨今の僕からすれば好ましくないはずなのだが、決していやな気持ちにならないのが不思議である。どちらかと言えば心地よい。それは自分の立ち位置がはっきりすることの心地良さとどこか似ている。今の僕自身のどこをどのように切り取ったところで「ラグビー」しか切り取れないわけで、その紛れもない事実を自らの立ち位置がはっきりすることによりポジティブに捉えることができるから、心地良いと感じるのかもしれない。自分のことは自分がいちばんよくわからないので、たぶんそうなんだとしか言えないのだけれど。ま、どっちでもいい。

とにかく飯がうまくて酒がおいしくて時間が止まっていた。
それだけでもう充分なのである。
そう言えば次回は神戸で、なんて話をしていたな。うん、楽しみだ。

さてと話題をコロッと変えることにして、一昨日は関西ラクロスリーグ戦の初戦、流通科学大学との試合が龍谷大学瀬田キャンパスのグラウンドで行われた。結果は8-7で勝利。ふう。内容的にはあまり褒められたものではなかったけれど、接戦を制したという点は十分に評価できる。あれだけミスしながらもなんとか格好をつけることができたのは実力があるからだと僕は思っている。

昨年から顧問を引き受けて週1のペースで彼女たちの活動を見てきた中で言えるのは、もう少し情報を遮断してもいいだろうということである。練習ごとに反省をするその姿勢を僕は高く評価している。コーチが常駐しない中で技術の向上を試みるには、学生同士がお互いの欠点やチームに足りないところを指摘し合うのは確かに必要だと思う。しかしながら「反省」という言葉からわかるように、あまりにできないところだけを列挙し過ぎると「自分は下手だ、もしかするとこの先もできないかもしれない」というネガティブな見通しが心を支配するようになる。そうなるとしんどいし、チーム全体の雰囲気が悪くなる。

だからミーティングではよかったところを指摘することも大切だと彼女たちには説いてきたし、おそらくその大切さを彼女たち自身も頭では理解しているとは思うが、まだ「身体でわかる」までに至っているとは言い難い。焦りや不安を感じれば誰でも身体が固くなり、ネガティブな思考に陥りがちとなって否応なく「できないプレー」に意識が向いてしまう。そうした傾向が強く出たのがこの前の試合じゃなかったかと僕はみている。

とにかく頭で考えることから解放する必要がある。リミッターをかけまくる脳ミソの呪縛から解き放たなくてはならない。ごちゃごちゃ考えるのは練習の時だけで十分だ。脳ミソの支配から逃れるためのひとつの方法は、いざ試合となれば「なるようになるさ」的に発想を転換してとにかく元気にグラウンドに出ていき、とにかくお互いに励ましの声を掛け合いながらプレーに没頭すること。情報を遮断するというのはそういう意味である。

彼女たちは本来の力をまだこれっぽっちも出せていない。それは言い変えればまだまだ伸びる要素があるということである。何人かにアドバイスしたことは、もしかすると彼女たちにとっては少し高度な内容に聴こえたかもしれないが、君にはそれだけのことができるはずだという気持ちを込めてのことだと受け取ってほしいと思う。

リーグはまだ始まったばかりだ。頑張っていこう。

さてと明日は待ちに待った朝カルでの対談。いったい何を話そうかと先ほどまで仕込みをしていたけれど、まとまった話にならなくて困っている。まあ無理にまとめなくてもよかろう、という楽観的な姿勢で臨もうと思う。「On your mark」という声がかかるまではすべてのことを楽しむことにしているというボルトに倣って、リラックスしようと思う。そう簡単にリラックスできれば僕の抱えるあれこれのほとんどが解決するって話だけども。