平尾剛のCANVAS DIALY

日々の雑感。思考の痕跡を残しておくために。

引っ越しの準備が完了。

今日は朝から引っ越しのための荷作りに勤しむ。引っ越しと言っても家ではなく、研究室の引っ越しである。ダンススタジオやトレーニングルームを備えたスポーツ健康教育センターが完成を迎え、そちらの3階に研究室が移ることになった。少し前に部屋を見学させてもらったのだが、学生10人が入っても狭く感じることがなさそうなほど広く、とてもきれい(できたばかりなので当然である)。大学教員2年目の僕がこんな部屋をいただいてもよろしいのかどうか。あまりに恵まれた環境にただただ恐縮するばかりなのであるが、その分、きちんと仕事をしなければならないことを肝に銘じて日々精進することにする。自らの研究のためだけではなく、学生のためになるような書籍の収集にも力を入れなければ。

この引っ越しは昨年の入学時から予定されていたものだった。この部屋には1年ほどしかいないということもあって、運び込む荷物はできるだけ抑えていたつもりだったのだが、いざ荷作りをしてみると意外にたくさんの段ボールが積み上がったことに驚く。10コほどで十分だろうと見込みながら実際には16コ。それに加えて紙袋に地球儀にポットにと、段ボールに収まりきらない細々したものもちらほら出た。

引っ越しは明日の朝だから、今は積み上げられた段ボールの前でこうして書いている。然るにここで書くのはこれが最後となる。なので今はちょっと感慨深くなっている。

パソコンに向かって右側の窓からはテニスコートを見渡すことができるので、ソフトテニス部の元気な練習の様子と硬式テニス部が黙々と打ち込む姿は、この研究室で過ごす日々に欠かせない風景だった。左側のドア越しに聞こえてくるバレー部のかけ声とまるで地響きのようなバスケ部のドリブル音もそう。デシベル的にはうるさいはずで、ときに騒音として感知せらるる時もあったが、部活がオフの日には逆に寂しく感じたりもした。右に見える風景も左から聞こえる音も、間違いなくここで過ごす日々になくてはらないものであった。

新しい部屋の窓から見えるのは周辺住民が住む家々の屋根である。おそらくは音らしきものが聞こえてくることはなさそうなので、しばらくはこれまでと比べて物足りない日々が続きそうな気もするし、その静寂ぶりにすっかりと落ち着いてしまうような気もするし、なんだかよくわからないけれど総じればやはり楽しみではある。環境の変化は往々にして不安を抱かせるが、しかし若干の寂しさを引きずりながらの期待も抱かせる。今はどちらかというと楽しみな気持ちの方が大きいかもしれない。いやどうだろ、やっぱりよくわからない。

いずれにしても引っ越しはさっさと終わらせてしまいたい。明日中には、これまでの部屋の掃除と、荷物の移動と、荷解きをすべて終了させるべく手際よく動こうと思う。

この引っ越しを契機に秋学期からは心機一転、教育と研究に邁進していくことをここに決意する。ここんところの僕はどこからどうみてもモヤモヤ、うじうじ、悶々としていたので、それらを振り払うべく腹に力をこめて歩んでいくことにする。当たり前に当たり前なことだが、僕の人生はまだまだこれからなのである。何だかその当たり前なことがすっぽりと抜け落ちていたような気がしたので、こうして改めて書き出してみた。一事が万事な考えから脱却すべく、今日からまた頑張っていこう、という決意表明なのであった。