平尾剛のCANVAS DIALY

日々の雑感。思考の痕跡を残しておくために。

ラグビーに浸りきり。同志社ずくしな一日。

関西大学ラグビーの開幕戦を観るために花園まで足を運んだ。大学時代の同級生ハギじいが数年前から関西学院大学ラグビー部のヘッドコーチを務めているところに、同じく同級生のムコヤマが今年から母校のBKコーチに就任したものだから、せっかくやし応援しに行って2人の決起会でもしようやということになったのである。大阪ガスでコーチをしているクラショと2試合を観戦し、夜の宴からは三菱電機でいまだ現役のタクも合流して、同級生だけの「プチ同窓会」の一日となるはずだった。

「プチ」というわけにはいかなかったのは開幕戦だけにたくさんのOBが足を運んでいたからで、スタンドでは「ご無沙汰してます」「おー元気にしてんのか?」的な挨拶を交わすことしきりであった。そんなわけだから「このあと鶴橋あたりでどない?」となるのは当然のように当然で、懐かしい面々でぞろぞろと飯を食ったり酒を飲むことになったのである。

まさに「大同窓会」の様相を呈する一日となった。

2つ上のフルミチさんと1つ上のハジメさんとは共に汗を流した世代で、久しぶりに拝顔しただけでテンションが上がるほどに仲間だから、一緒に試合を見てると突っ込みどころと賞賛ポイントが合う。「なにやってんねん!」「今のはええプレーや」というポイントがほとんど一致しているのが何とも言えず心地良い。同志社と大体大の試合は点差が開いたこともあっていまいち盛り上がりに欠ける内容だったが、関学と摂南の試合はお互いの意地と意地がぶつかり合う熱い試合だった。試合内容のみならず、後半も終わりになるまで勝敗の行方がわからないという試合展開にも白熱した。

それにしても摂南大学NO.8シオエリはえげつないプレーをする。110kgもの巨躯であるにもかかわらずしなやかな動きでオフロードパスをつないだりするところが、すごい。当たりはものすごく強いのだけれどただ強いだけではなく、しかもアイランダー特有の大雑把さがない。あんなのが敵にいたら大変である。

そんな摂南に、幾度かのキックミスで自らチャンスをつぶすという不格好な試合展開ながらも勝ち切った関学は強いと思う。昨年までと同じくDFがしっかりしている。今年も試合ぶりが楽しみである。

同志社は、良い意味でも悪い意味でもクレバーなラグビーをしていた。野球に例えるならば、ノーアウトのランナーが出たらすぐさま送りバントをするような手堅さというべきクレバーさ。ラグビーは陣取りゲームである以上、キックで大きく陣地をとろうとする姿勢は理解できる。PGで着実に得点を加算するのも必要である。「でもさ…」と言いたくなるのは、一OBとして、また一ラグビーファンとして、ラグビーを楽しみたいという気持ちからである。学生スポーツの醍醐味とも言うべく無謀さや、合理的な戦術論からは外れてもお構いなし的な荒くれたプレーが見たかったりするのだ。「対関東勢」を視野に入れるとすれば、開幕戦の、しかも近年は低迷している大体大戦は、とにかくチョンゲリで攻めまくるというのは理に適った戦法のような気がするのであるが、どうだろう。開花されるのを待っている潜在力を引き出すにはとにかくシンプルに闘志をむき出しにしたプレーが必要だと思うのだけれど。

来週、同志社はこの摂南と対戦する。なんとか勝ってほしいと願う。12月5日に行われる関西リーグの最終戦同志社関学との全勝対決を見たいからである。目から火花が散る2人の様子をスタンドから眺めて楽しませてもらおうと目論んでいるのであった。

それにしてもやっぱりラグビーはおもしろい。すっかり観る者として馴染んでいる自分にいささかの寂しさはつきまとうけれど、それ以上に気楽にラグビーを楽しめる今が僕はとても心地良い。意外なほどにまたやりたいという気持ちが湧いてこないのが不思議である(タッチフットはしたいけれど)。

ラグビーはみんなでワイワイと観戦する。これに限るな、いやホント。