平尾剛のCANVAS DIALY

日々の雑感。思考の痕跡を残しておくために。

ラグビーシーズン到来、今年は正面の追っかけをします。

あまりに気持ちがよかったもので先週は3回も「灘温泉」に足を運んでしまった。猛暑続きなので湯船で温まるのは逆効果だと考えられるのだが、どうしても身体が行きたがっているような気がしてつい足が向いてしまった。クーラーの影響や、部屋の外と中の温度差などで実は夏場の方が身体が冷えている、とは幼少から聞かされた母親の教えだが、それを実証するかのような身体の疼きにもしかするとそうなのかもねと、今更ながら母の言葉に納得しかけている。体感的にこれだけ暑いのだから身体が冷えているなんてことはないだろうと思っていたけどねー。このままだとたぶん今日もぶらりと立ち寄りそうな気がする。

この週末はラグビー観戦。大阪・長居スタジアムで行われた神戸製鋼コベルコスティーラーズvsクボタスピアーズを見に行く。開幕戦をライブで見るのは2年ぶり。ブースでチケットを受け取り、久しぶりに顔を合わせた面々と少し話をしてからそそくさとスタジアム内に入ると、1試合目の近鉄ライナーズvsリコーブラックラムズの試合が目に飛び込んできた。試合会場独特の雰囲気を感じて懐かしさがこみ上げてきて「やっぱりラグビーってええよなあ」と改めて思う。思いもかけないタイミングで決別してからというもの、ずっと穏やかならぬ気持ちでいたことに今さらながらに気がついた。というよりも、現役引退してから4年が過ぎようとしている今だからこそ気がつくことができたのかもしれないけれど。まああんまりごちゃごちゃ考える必要はないだろうし、考えたくはない。ボクがラグビーに育ててもらったことは何ら疑いの無いことなのだから。

試合はというと神戸製鋼が安定した戦いぶりで6トライを奪って快勝。武術的な身のこなしと断じて疑わない正面選手の相も変わらず柔らかな動きに目を奪われて、何とも言いようのない気持ちよさを感じることしきりであった。伸び伸び、活き活きと動き回る身体を目の当たりにすれば見ている側の身体も伸び伸び、活き活きとなる。気持ちの上でも昂揚してくる。これは脳科学的にも証明されていることで、私たちの脳内にあるミラーニューロンの働きによるもの。しなやかなステップを踏む動きを見ている側の脳内でも、しなやかなステップを踏む時に発火するニューロンは活発に活動している。実際に身体が動いていないにもかかわらず脳内では「シミュレーション」が行われている。それゆえに見ているだけでも気分が高揚してくるのだ。

落ち着いたキック処理、相手を引きつけてから絶妙なタイミングでのパス、相手と接触する際の身のこなし、さらにはオガジン(小笠原選手)との連携もよく、それを見れただけでも足を運んだ甲斐があったというものである。一緒に見ていたラグビー初心者の相方が「足音が聴こえなさそうな走り方やなあ」とつぶやいたのだが、まさしくそれは踏ん張らずに力を抜いて走っていることの証左であり、うまい表現だなと思ったのですっかりいただいた。みなさんも、もし彼のプレーを見る機会があれば「足音が聴こえなさそうな走り」を堪能してみてくださいな。

彼のプレーを見る以外にも今年は楽しみにしていることがある。それは同級生である大介(大畑)が引退を決意して臨んだシーズンであり、また現役時代にグラウンド内外でお世話になった苑田さんがヘッドコーチとして臨む初めてのシーズンだということ。かつてのチームメイトがどのような想いを抱いてシーズンを戦うのかがとても楽しみなのである。詳しくは明日の毎日新聞に掲載される身体観測に書いたので読んでもらえれば有り難い。どうぞよろしくお願いします。

2010年、今年もラグビーシーズンの到来である。ラクロス関西女子リーグはもう始まっているので、そのレポートについてはまた後日に書くとします。