平尾剛のCANVAS DIALY

日々の雑感。思考の痕跡を残しておくために。

「史上再弱」のバトンタッチ。

それにしても入替戦に回るとは予想もしていなかった。京産大に負けたあたりから今年も優勝は無理そうだなと感じてはいたけれど、まさかの関西7位にはすっかり意気消沈である。ボクが4回生の時は関西5位に終わり、中京大との決定戦を経てやっとこさ大学選手権に出場した。ボクたちの学年は自他ともに認める「史上再弱の同志社」だったが、これで自虐ネタにすることができなくなってしまった。ちと寂しい。

街の兄貴である金村さんとも話をしたのだが、ながらく関西3強だった同志社京産、体大が毎年順番に入替戦に回る事態は誰が想像しただろう。昨年、一昨年とかつてのライバル校が入替戦に回る事態を、ボクは恥ずかしながら対岸の火事と捉えていた。昨年の時点では母校が入替戦に回ることなど爪の先ほども予想していなかった。でも、冷静に振り返ってみれば今年の事態を予想できた人などいるのだろうか。どう考えてもいるはずがない、よな。

ただこうして実際に入替戦に回ることが決まってからは途端に不穏な空気が流れはじめるから不思議である。いざ現実のものとなってしまえば弱体化の原因を探り出す人たちがいて、それがエスカレートしていくとこうなることはさも必然だったかのような語り口で、あることないことが氾濫する。一ファンとしての熱意の裏返しで手厳しい言葉が繰り返し語られることを批判したりはしないけれど、そこにやや高い目線で加わって同じように語ることだけはしてはならないよなと思う。つまり「こうなることは薄々感じていた」的な言葉。自らを大きく見せるためのそうした言葉の連なる場をしっかり見極めたいし、こうした言葉をつい語りたくなる衝動がボク自身の中にも芽生える可能性にも想いを馳せておきたい。特に酒の席では。

 同志社どうなんてんの?」という質問には安易に答えてしまわないように心がける。ささやかだけどそれが今のボクにできることだ。OBのあいだではこれからいろいろな原因が言挙げされることだろうが、そこではより建設的な意見を口にしたい。危機感をもつこと。そこからしか何も始まらないと思うからだ。あれが悪い、これが悪いと身内で言い合うのではなく、再起に向けてどのようにしていったらいいのかを、たとえ解決策が浮かばずとも話し合うべきだとボクは思う。間違っても現役選手に敗因を求めてはいけない。

「関西5位」のメンバーから言わせてもらうと、「史上再弱」を背負うのって結構キツイのですよ。今だから揶揄できたりもするけど、ずっと心のどこかで引きずっていたのは否めない。だからさ、現役選手には入替戦には持てる力のすべてを出し尽くすことを目指して一日一日の練習に励んでほしいと思う。勝敗なんてさ、監督やコーチに押しつけてしまえばええねん。そんなことよりも4回生最後の試合を今までで一番ええ内容にすればいい。下級生は4回生とともにプレーする最後の試合だと思って存分に走り回って当たりまくればいい。外野の声なんて気にするな。10年たったら酒の肴になるんだからよ。近い将来、「関西7位&入替戦」と「関西5位」が同志社ラグビーについて語りながら飲む、という構図もまたおもろいやないか。

負けることなんて想定していないけれど、とにかく「ええ試合」をして欲しいとだけは思うのである。てなわけで11日の入替戦は観にいくことにした。

後輩たちよ、がんばるのだ。