平尾剛のCANVAS DIALY

日々の雑感。思考の痕跡を残しておくために。

2011年度ラクロス部夏合宿終了。

それにしてもまた更新が滞ってしまった。なかなか書けずにいる自分を歯がゆく感じてはいるが、こうした停滞時期もまた今のボクには必要なのだろう。そこは割り切って、書ける時に書いていくことにする。

昨日までラクロス部の合宿で岐阜県は飛騨流葉に。昨年と同じ「ロッジ千台屋」という宿に泊まり、3泊4日の日程でした。関西ラクロスリーグが13日に開幕し、神戸親和女子大学の初戦は21日。それに向けての最終調整をするという位置づけで、この合宿を行ったというわけです。とは言えラクロスは毎年8月の半ばから終わりにかけてリーグが開幕するので、夏合宿が最終調整的な意味合いを持つのは毎年のことです。とにかく反復したり、走り込んだりするのではなく、あくまでも最終調整をすることに意味がある。ボクはそう考えて乗り込みました。おそらく学生たち一人一人もそのような意識で臨んだのではないかと思います。

この合宿で徹底しようとボクが考えたのは「オンとオフの切り替え」。すなわち気持ちのスイッチを意識的に入れる癖をつけなければ、と考えたからです。この「オンとオフの切り替え」は、もちろん普段の練習から意識的に行っておかなければならないことです。試合開始と同時に100%のパフォーマンスを発揮して試合の主導権を握れば自分たちに有利な試合展開になる。また、相手に得点を決められたのちに素早く気持ちを切り替えていつも通りのパフォーマンスができれば試合は必ず拮抗してくる。ひとつのミスに落ち込んだりせず、気持ちを切り替えて再び積極的なプレーができるかどうか。それがよい流れを作ることにつながります。

ただどうしても学生同士では気持ちを切り替えることは難しい。暑さや疲れが「まあええか」という諦めを生み、続けざまに得点を決められると「どうしよう」という不安が芽生え、それがメンバーに伝染していきチーム全体のパフォーマンスが下がる。こうなれば勝てる試合も落としてしまう。イーブンボールなはずなのになぜか相手に有利な転がり方をしたりして、いわゆる試合の流れが相手に傾いてしまう。これはただ単なる偶然などではなく、芽生えた不安とそれからくる焦りによって無意識的にそうさせてしまう。だからどんな情況にあろうとも試合中は後ろを振り返ってはいけない。取られたら取り返せばいいのだし、諦めてはいけない。そのためには普段から「オンとオフの切り替え」を習慣づけておく必要があります。

ひとつ屋根の下で寝食を共にする合宿では継続して練習を見ることができますし、食事やミーティングなどで一人一人の顔を見ることができる。そして個人的にアドバイスしたいなと思えば宿舎内でのすれ違いざまに声をかけることもできる。何かを徹底して意識させるには合宿というのはとてもいい機会です。何より皆が同じ時間に起きて、食事をして、練習をするという、同じ時間の使い方をすることでの一体感はとても心地が良い。気分がいいときには気持ちのよい言葉を口にしやすくなるし、おそらく聴く方にしてもすんなりと入ってくるはずです。

てなことでひとつの大きなテーマとして「オンとオフの切り替え」を掲げてみましたが、この合宿に限ればそれは成功したのではないかという手応えがあります。ただ、問題はこれからです。ここから約1週間後の試合までにそれを継続できるか。そして、リーグが続いている間ずっとこの「オンとオフの切り替え」を意識して練習できれば、チームはがらっと変わってくるように思います。

スローにしてもキャッチにしても、それぞれの技術は格段に上手くなっている。ラクロス素人顧問のボクが言うのもなんなのですが、その成長ぶりにはちょっとびっくりしてます。ただ、だからといって試合に勝てるかと言えばそうは問屋が卸さない。重圧がかかる試合で、練習の時と同じようなパフォーマンスができるかどうか、それは全くの別問題です。体勢が崩されても落ち着いてプレーできるか、多少スローが乱れても落ち着いてキャッチできるか、ここで決めなければ負けるという場面で落ち着いてシュートができるか。つまり「落ち着いて」プレーすること。それができるかどうかはまだ未知数です。

「オンとオフを切り替える」という意識は自分を落ち着かせ、またチームを落ち着かせるためには身につけておくべきこと。いや、それがまずあって、その上にいろいろな技術を積み増すことで選手として成長してゆく。確かに技術的な向上は自信を生み、その自信がどんな状況に置かれても動じないほどの落ち着きを生むということもあります。だから一概に言い切ることはできないかもしれない。でも少なくとも今のうちのラクロス部にとっては「オンとオフの切り替え」という心構えを身につけることが必要不可欠だと言い切ることができる。

試合開始と同時に100%のパフォーマンスを発揮し、後半開始直後も同じようにプレーする。ミスが起きてもいちいち落ち込まずにそれのフォローに全力で取り組む。点数を取られてもめげずに次の1点を取りにいく。こうした心構えで試合に臨めるように学生たちをサポートしていきたいと思います。


ちなみにこの合宿を通じてボク自身が強く実感したことがひとつあって、内容としてはこれまでに何度も考えてきた内容なのだけれど、それを身体で感じ取ったというか、ストンと腑に落ちたのだった。それは、『「そんなことできるんや」「そういうことってやってもいいんや」という気付きがもたらすブレークスルー』なんだけれど、短い言葉では説明できそうもないので、また後日あらためて書いてみようと思う。上手くなるってこういうことなんですね。だとすれば指導とは「そそのかす」ってことなのかもしれません。