平尾剛のCANVAS DIALY

日々の雑感。思考の痕跡を残しておくために。

いちおうNZ戦の感想を。

「やはりオールブラックス戦について書かないとアカンかなあ」という後ろ向きな気持ちが、ブログの更新を思い止めていた。日本代表の戦い振りを自分なりの尺度で解釈しときたいし、また、講評を期待してくれているラグビーファンに向けて語る義務もあるから、やっぱり書かねばならない。と思いつつ、でも、どこをどう書いたところで愚痴っぽくなってしまうことは目に見えているから、どうしたもんやら、うーん、と腕組みをしたまま悩んでいたのである。

結論から言うと、あまり伝わってくるものがない試合であった。端的に表現するとすれば「消化試合」であったということだ。日本代表、オールブラックス、ともに消化試合でしかなかった。そこには「熱く燃えたぎるなにか」がなかった。だからやっぱり感想は「もひとつ」ということになる。

鬼気迫るタックルがあるから、それを弾き飛ばすクラッシュが、華麗なステップが、輝く。気持ちのこもった激しいディフェンスがあるから、身を呈したギリギリのところでのパスのつながりが美しく見える。チームプレイの中で生まれるアクセントとしての個人技だからこそ、思わず目を
奪われるのだ。両チームともに全力でぶつからなければこうしたプレーは見れない。

その数日後に行われたオーストラリアvsアイルランド戦を見たことも影響している。この試合は、先の試合とは比べものにならないくらいに緊迫した展開をみせた。格上のオーストラリアに対してアイルランドが真っ向から勝負を挑み、勝利をものにしたこの試合は、ラグビーの醍醐味を味わうには十分な内容だった。あまりの興奮ぶりに居ても立ってもいられず、すぐに三宮にあるスポーツバー【THIRD ROW】に足を運んで、録画映像を見せてもらったほどである。「ワラビーズ(オーストラリア代表の愛称)は終了間際のペナルティは狙うべきだったよなあ」とか、「オコーナー選手のバッキングアップには涙が出そうになるわー」とか、店主の金村さんとワイワイ言っていたのであった。アイルランドフランカー、オブライエン選手のプレーに二人ともが釘付けであった。

この試合のインパクトが強く、無意識的にどうしても比較してしまうものだから、先の試合の印象が薄くなる。これは日本代表が、というよりもオールブラックスについても言えることで、縦横無尽に走りまくりトライを取りまくったにもかかわらず、一ファンとしては消化不良な内容だったと言わざるを得ない。やはり、気持ちの入った試合が見たいし、特にオールブラックス戦はそうで、期待が大きかったが故に落胆しているのが正直なところである。

うん、この試合の感想はこのくらいにしておこう。このままツラツラと書いていくと、愚痴っぽくなっていきそうなので。

明日(21日)にはトンガ戦が控えている。この試合と、次のカナダ戦(27日)に勝利を収めるためにオールブラックス戦は主力選手を温存したのだから、是が非でも勝ってほしいし、ひとまず先の試合のことは忘れて(笑)、腰を据えて応援しようと思う。