平尾剛のCANVAS DIALY

日々の雑感。思考の痕跡を残しておくために。

「小さな約束」を守ることから。

この場で書くと決めてから2ヶ月以上が過ぎた。7月は一度も書かなかったし、8月も既にお盆を過ぎて9月が目前に迫っている。つまり前回のあの決断はまるっきりの嘘だったということである。自らの意志の弱さには閉口する他なく、期待してブログを訪れていた方々にはひたすら頭を下げるしかないわけで。

ほんまにすんませんでした。

毎回そうなのだけれど、「今回こそはなんとしても!」と思い過ぎるがゆえにえらく力んで構えてしまう自分がいて、結局のところそれが空回りして放置するに至るわけで。「書けない理由」には心当たりがある。それはいいものを書こうとする結果重視の心的傾向で、これがいつしか僕の中に芽生えてしまっている。ぶっちゃけていえば「恐怖」だな。正直に言います、びびってるんです。それがわかっているからこそ、「書きます宣言!」という既成事実を作って乗り越えようとはしたものの結果はご覧の通り。書けないだけならまだしも、読者の信頼を失いつつあるのだから、なんとも項垂れるしかない。

ほんまにごめんなさい。

信頼を築くためには小さな約束を守ることから。そういえば、現役時代からお世話になっているバーの店主が口癖のように言っていたっけ。大きな約束はほとんど誰もが守ろうとする。その約束に関わる人数も多いため、たとえ煩雑さを感じようとも守らないわけにはいかない。でも「小さな約束」は違う。ふと口につく何気ない一言で、当事者は「わたしとあなた」であることが多い。別に守らなくてもその関係性がすぐに壊れることもなく、忘れ去られることがほとんどだ。だから、「必ず守ろう」という心がけがなければ守ることが難しい。

信頼は「小さな約束」を守ることで築かれていく。少しずつ、少しずつ、重ねゆくことでしか築かれることはないんだろうと思う。こんな大切なことを、僕はどこかでおざなりにしてしまった。だからこその「書けない」であり、「書けないんだ」と思い込ませるほどの不安定さを呼び込んでしまったのだろう。

とすればやり直すのはここからだ。ブログだけでなく私生活を振り返ってみても、「小さな約束」を反故にしてきたかもしれない自分がちらほら浮かんで落ち込むばかり。少しの心がけでできることでも、それを何年も継続することがどれほど難しいか。「継続は力なり」という言葉の重みがずしんと響くのだった。

まっ、てなわけで、これからはぼちぼちと書いていきますね。

以前にも告知しましたけど、現在は2本のウェブ連載をしておりまして、ひとつは隔週連載中の『みんなのミシマガジン』の“近くて遠いこの身体”。もうひとつは、不定期連載の『住ムフムラボ』の“スポーツ、観るする”。この画面の右上にリンクがありますので、ぜひとも読んでくださいね。