平尾剛のCANVAS DIALY

日々の雑感。思考の痕跡を残しておくために。

2020年7月28日。

今日は朝からzoomでの会議。第2体育館がこの秋に完成するので、その記念式典について担当教員同士で話をする。僕が主担当なので内容案を提示し、他の先生方から意見を頂戴する。話し終えるや否や途中で退出してラグビー部の練習へ。出席者は13人。僕も加わり3チームに分けてタッチフットボールを数ゲーム行う。しばらく活動していなかったので部員の体力は落ちており、途中で膝に手をついて息を切らしている者もいたが、やはりゲーム形式の練習はおもしろいらしく途中で抜ける者もなくみんな最後まで走り切っていた。いつもの喫茶店【サンフラワー】でランチをすませたあとはまたzoomでの会議がひとつ。その後Teamsにパワーポイントの資料をアップロードしたら、すっかり夕方になっていた。

このところ夢中になって読んでいた『漂白のアーレント 戦場のヨナス』を、大学への道中で読了した。素晴らしい本だった。一字一句、取り逃したくないと思える本はそうそうない。普段の読書は線を引くためにシャーペン片手に読むのだが、この本はあえてそうせず、とにかく通読を心がけた。線を引いたり付箋を貼ったりすると、読書の流れがどうしても寸断される。研究に関わる専門書や講義で引用するための読書はそれでもいいのだけれど、純粋にその本を楽しもうとすればできるだけこの流れを止めたくない。流れのままにページをめくりながら、その世界に浸る方が間違いなく楽しい。そうして舐めるようにじっくり読んだのだった。終わりに近づくにつれて線を引きたい衝動に負けて、数カ所シャーペンで書き込んだだけ。次に読み返すときにはガシガシと線を引こう。

ここ最近はおもしろい本によく出くわす。備忘録としてざっと列挙しておく。

ポール・メイソン マイケル・ハート マルクス・ガブリエル『未来への大分岐』
出口治明『哲学と宗教全史』
トニー・コリンズ『ラグビーの世界史』
松村圭一郎『文化人類学の思考法』
小倉ヒラク『発酵文化人類学
内藤正典『となりのイスラム
内田樹×平川克美『沈黙する知性』
内田樹『サル化する世界』
ジョージ・オーウェル1984年』
雄大『モヤモヤの正体』
三島邦弘『パルプノンフィクション』
佐藤友亮『身体的生活』
白井聡『武器としての「資本論」』
奥田英朗『罪の轍』
斎藤環×與那覇潤『心を病んだらいけないの?うつ病社会の処方箋』

振り返るとジャンルもバラバラで、自分の「雑食性」をあらためて実感する。新型コロナウイルスの感染拡大によって生じた時間が、僕を読書に向かわせたという点もあるが、ここんところはとにかく読書が進む。もちろんうれしい悲鳴だ。もともと遅読なので量はさほどかもしれないが、夢中になってその世界に浸れる、読書ならではのこの幸せは、なにものにも代え難い。欲を言えばもっと映画を観たいのだけど、子育てと仕事が忙しいあいだはなかなか難しい。大学への行き帰り、また仕事の合間に研究室で楽しめる読書はやはりいい。

さて、そろそろ帰ろう。帰宅後は娘と遊ぶのである。