平尾剛のCANVAS DIALY

日々の雑感。思考の痕跡を残しておくために。

2020年7月24日。

新型コロナウイルスの感染が拡大する状況を受けて、本学では再び全面オンライン授業へと移行した。一部対面授業を行っていたのを取りやめてのこの事態に、仕方がないと思いつつも、学内に自粛ムードがあらためて漂い始めたことに気分は憂鬱になる。

本日はTeamsによる授業とzoomによるゼミとが一つずつ。zoomでのゼミでは、学生たちはこのコロナ禍による疲れが隠せない様子で、ディスカッションがいまいち盛り上がらない。三密を避け、ソーシャルディスタンシングを取る。マスク着用に手洗いの励行など、感染防止に向けてほとんど義務化された行動を余儀なくされ、さらには「GO TO キャンペーン」というさらに感染を拡大しかねない政策にも翻弄されて、脱力感を感じているようだった。

国であれ地方自治体であれ、はたまた職場やクラブ活動などの身近な共同体でもそうだが、リーダーたる者の資質がその所属員に与える負の影響をまざまざと実感している。発売中の週刊文春には、第2波到来かと思われるほど感染が広がりつつある現状において、なぜ「GO TO キャンペーン」を始めるのか、それがわかる記事が掲載されていた。詳細は省くが、記事内容を僕なりに解釈すると、要するに菅官房長官東京都知事のメンツがぶつかり合ったがゆえの「今」であるということだ。一国民にとってはまったくもってはた迷惑としか言えない。

自粛を促しつつ旅行にも行けというのが、どう考えても無理筋なことは小学生でもわかる。あちらこちらで目にするリーダーの無能さには、ほとほとあきれ返る。人格の高潔さまで求めないから、せめて常識的な判断をして欲しい。少しくらいなら私腹を肥やしてもいいから、せめて実効性のある政策を提言してもらいたい。

とほほ、とため息をついて、どうにかこうにかやり過ごすしかない。

今日が祭日であることは、家を出て最寄り駅に向かう道すがらに気づいた。1科目15コマを確保せねばならないから、コロナ禍で授業開始が出遅れた分を確保するために本学で祭日でも授業を行う。だから平日の気分のままに出勤したのだが、通りを走る車や駅に向かう人がやたらと少ないことを変に思い、そこでようやく気がついたのだった。しかも今日は新設されたスポーツの日だというではないか。本来ならば東京五輪の開会式が行われているはずだった1日も、いつもの金曜日のように過ぎ去り、窓の外を見ればいつのまにか暮れかけている。皮肉である。

雨も、窓を叩きつけるほど激しく降っている。そういえば今朝は曇っていたので自転車で出勤し、最寄り駅近くの有料自転車置き場に止めている。このままだと雨の中を自転車で帰らなければならない。

こちらもまた、とほほ、というしかない。

今日も長い1日だった。
さあ、帰ろう。