平尾剛のCANVAS DIALY

日々の雑感。思考の痕跡を残しておくために。

ジャパンラグビートップリーグと関西学生ラクロスリーグが開幕。

先週は仁義シリーズ集中週間にするはずだったのに、
あれやこれやで思うように見る時間をつくることができず。
つい2回も見てしまった「代理戦争」が次の「頂上作戦」に続く形で終わっているので、できうる限り早く見たい気持ちでいっぱいなのであるがなかなかである。

さて、9月5日(金)に行われたサントリーサンゴリアスvs三洋電機ワイルドナイツの試合をもって、ジャパンラグビートップリーグ2008-2009が開幕した。
秩父宮での試合だから現地には足を運ぶことはかなわず、当日はキックオフの時間に間に合うように慌てて帰ってテレビの前に陣取った。
昨年度トップリーグ優勝チームと日本選手権を制したチームとがリーグ一発目に相まみえた試合は、三洋電機が19-9で勝利を収めた。

かねてからブログで興奮気味に書いていたサントリージョージ・グレーガンは、チームに合流してから間もなくだったためか、こちらの期待に応えてくれるようなプレーを見せてはくれなかった。だからと言って全然だめだったわけではなくて、ただこちらの期待が大きすぎるが故に落胆させられただけなので、おそらくチームにフィットしてくるこれから要注目である。

期待を抱き過ぎたときはほとんどが落胆へと繋がってしまうのは世の常である。
ということは経験的にも熟知しているはずなのに、期待を抱くことのドキドキ感を捨てることはなかなかに難しい。

そのグレーガンと後半20分に交代で出場した成田選手のスピードは、
相も変わらずめちゃくちゃ速かった。
彼がピッチに登場してからサントリーの攻めのテンポは明らかに変わった。
グレーガンとはプレースタイルが対照的なだけに、この両スクラムハーフの起用の仕方がサントリーにとっては肝になるんじゃないかなあ。なんて。

それにしてもトニー・ブラウンはすごかった。
三洋電機というチームにすっかり溶け込んでいて、と言うよりかはトニー・ブラウンがタクトを振るチームに三洋電機がすっかりと定着しつつあると表した方が正確かもしれない。
ブラウンが怪我することなく試合に出場しているあいだは三洋電機は負けないんじゃないかと思わせるほど、彼の存在は大きい。
「試合の流れ」という波に乗ることに長けているというかなんというか。
キックがうまくタックルが激しいというスキル的なことはもとより、ターニングポイントにおいて精度の高いプレーを「何気なく」繰り出すのだから恐れいる。
タイプは違うがまるでかつてのアンディ(アンドリュー・ミラー)みたいである。

試合全体を見ればキック合戦になることが多く、おそらくこれは新ルールの影響によるものだとは思われるのだが、個人的にはもっとボールつないでの展開が見たかった。開幕戦ということで両チームの選手にはかたさも見られたし、大量の汗でボールが滑りやすかったせいかイージーなハンドリングミスも散見されたので、展開するには難しいコンディションだったのかもしれないが、WTBだった僕からのささやかな願望としてそう思うのであった。

という試合の次の日はいよいよ神戸製鋼コベルコスティーラーズが登場。
昨年度と同様にNECグリーンロケッツと対戦し、結果は20-10で勝利。
開幕前の練習試合で東芝ブレイブルーパスにこっぴどくやられていたから、試合前には小さくない心配を抱いていただけに、勝利したことでもたらされた安堵感はこの上なく大きかった。

とにもかくにも、今は勝ったことにホッとしている。

しかしシーズンはまだ始まったばかり。
かつてのチームメイトや大学時代をともに過ごした同志やジャパンやなんやで顔見知りの選手が、まだまだ元気に走り回っている姿からはたくさんの元気がもらえる。試合の勝敗よりも、あのチームのアイツやこのチームの○○さんのプレーに思わず目がいってしまうという、引退して間もなくのあいだしか得られないこうした見方で、今年のトップリーグを存分に楽しみたいと思っている。

ラグビーの話はこれくらいにしておいて…。

昨日はラクロスの試合が京大農学部グラウンドで行われた。
大学女子ラクロスのリーグが8月末から開幕していて昨日は2試合目。
近畿大学との開幕戦は6-6の引き分けだった)
相手は甲南女子大。
後半残り5分あたりで同点に追いつかれながら、そこから2点をもぎ取って6-4で今季初勝利を収めることができた。

みんな、よくがんばった。
点数がもつれ出した試合終盤になってからついつい大きな声で指示を出してしまったのは、昔取った杵柄でついつい血が騒いでしまったからである。
なんといっても接戦をものにしたときの快感はたまらないのだ。

4回生部員が1人もいない神戸親和女子大は3回生が中心のチーム。
昨年から出場していた選手も数人だけなので、経験に乏しいチームだと言える。
だからこそそうした「快感」を是非に味わって欲しかった。
勝負が決する局面でプレッシャーに押し潰されることなくプレーできたという経験は、積み重ねればやがて自信になる。

そういう意味でこの試合は彼女たちにとって大きなものとなった。
試合後に悔しくて涙を流す選手もいたが、抑えきれず溢れ出すほどに悔しいという感情は確実に自らを成長へと導いてくれる。がんばろう!

それにしても試合を「見る」ということにまだまだ慣れない。
ラグビーではなくラクロスなのに、しかも女子なのに、
ついプレーしたくなる気持ちが芽生えてしまう。
血が騒ぐというかなんというか。しかし、心の底から湧き起こるあの激しい感情とはよほど丁寧にお付き合いしないといけないなと思う。あの感情を湧き上がるままに開放してしまったら、攻撃的なことばが紡がれることになって、やがては怒鳴り的な指導へと繋がっていくかもしれないなと直感する。
あれだけ怒鳴り的な指導を非難しておきながら、自分の心の奥底に「怒鳴り的指導の素」があったなんて、おお、こわ。

まだまだわからないことだらけだけれど、
ラクロスお気楽コーチの修業はまだまだ続く。