平尾剛のCANVAS DIALY

日々の雑感。思考の痕跡を残しておくために。

第87回全国高校ラグビー大会開幕。

午後からのゼミに備えて、これまでに書き上げた章を読み直そうとしたとき、
携帯電話に「留守電が入ってんでー」のお知らせメールが入る。
先生に急用ができたようでゼミが中止になった。
思いもよらずにゆとりの時間が生まれて、それに外は雨。
ひとまず「ふうー」と一息ついて、ブログを書き始めたのであった。

テレビからは全国高校ラグビー大会1回戦の試合が流れている。
トマトとレタスと目玉焼きと紅茶、それに餅という何とも不格好な朝食を食べながら、高校ラグビーの試合に見入る。
パンを食すはずがすっかりとカビが生えていたので泣く泣く餅に変更。
それもパンを焼く寸前に気付いたのでその他のメニューは既に用意済み。
というわけでこのメニュー。ま、おいしかったからええねんけど。

それにしても高校生たちは熱のこもった試合を繰り広げている。
負ければ終わりというプレッシャーの中で一瞬一瞬に込める気迫は、
テレビ画面の中から充分に伝わってくる。

花園はかなりの雨が降っているようで、
キックで陣地を稼ぎ、モールを中心としたフォワード戦が展開されている。
雨の時はボールが滑るためにパスを放りにくいし、キャッチもしづらい。
だから、確実に前進できるキックで前進してフォワードの突進やモールでトライをとろうとするのが、雨天時における戦い方のセオリーである。

ただ、こうした戦法はややもすれば単調な試合展開になりやすく、
試合を見ている側には面白味のない試合内容になることが多い。

それでも今日の試合がオモシロいのは、負ければ高校生活最後の試合になるプレッシャーの中で一人一人の選手が一所懸命にプレーしているからであろう。
両チームの必死さが生み出すギリギリのプレーに思わず呻る。
たとえ単調な試合運びになろうとも、選手たちがこの試合に懸ける意気込みに巻き込まれてしまって力が入るのである。

オモシロくなる理由にはもう一つある。それは、いくら雨だとしても果敢にバックス展開を試みるシーンがみられることである。

高校ラグビーは、たとえ雨天時であってもフォワード戦一辺倒になることは少ない。冒険的なパスを放るし、バックスにも展開しようと試みる。
それにはおそらく「オレにもボールを持たせろ!」というバックス陣の深層心理が影響している。“もし負けたらこのメンバーでプレーすることが最後になるんやし、せめてオレらにもボールを持たせてくれや”と心の奥底で知らず知らずのうちに叫んでいる。
まるで『スラムダンク』に登場するスーパー高校1年生の流川のように「パスくれパスくれパスくれ…」という念が発せられているのである。

バックス個々のそうした念が増幅されて「雨の中でもバックス展開」という流れができる。だから雨でもバックス展開するシーンが散見されるのである(たぶん)。

試合を終えてヘッドキャップを外した選手たちの中には「ほんまに高校生かいな」と見受けられる風貌のおっさん高校生もいる。
そうした選手を見つけるのも高校ラグビーを楽しむ一つの視点である(たぶん)。