平尾剛のCANVAS DIALY

日々の雑感。思考の痕跡を残しておくために。

「08年ジャパントップリーグ開幕」身体観測第57回目。

 ジャパンラグビートップリーグ08-09が開幕した。今年もまた熱き戦いが始まるのかと思うと、つい気持ちが高ぶってくる。

 サントリーサンゴリアス三洋電機ワイルドナイツとの開幕戦は見応えのある試合であった。昨年度トップリーグ優勝チームと日本選手権を制したチームが開幕戦で手合わせするのだから、意地の張り合いにならないわけがない。

 スクラムに絶対的な自信を持つサントリーは執拗なまでにスクラムを押し込んだ。対する三洋電機トニー・ブラウンのキックを中心に陣地を稼ぎ、一体感のあるディフェンスでサントリーのアタックを阻止し続けた。開幕戦ということもあり両チームともに動きに固さがみられ、ボールも滑りやすかったこともあってイージーなハンドリングミスも散見されたが、結果的には19−9で三洋電機が危なげなく勝利を手中に収めた。

 途中、何度もキックを蹴り合う場面が多く見られたが、それはルール変更の影響だろう。今年度はいくつかの試験的実施ルールが適用される。主なところでは22m区域の解釈が変更になり、モールの引き倒しが認められ、スクラムオフサイドラインが5m後方に下げられることになった。さらに、今年度のみの変更として外国人選手が同時に3名出場できることにもなった。こうした大幅な変更が、チームの戦術や選手起用に大きな影響を及ぼすことになるのは間違いない。

 こうした変更には各チームともにシーズンが深まるにつれて徐々に馴染むだろうが、大切なのは馴染みの程度であり、どれだけ深く馴染めたかが勝負の行方を大きく左右することになるだろう。もしかすると新ルールに上手く適応したチームが勢いのままに優勝することだってあり得るのではないか。新しく勢力図が塗り替えられるかもしれないという密かな期待を胸に抱きながら、今年度のトップリーグを楽しもうと思う。

<08/09/09毎日新聞掲載分>