平尾剛のCANVAS DIALY

日々の雑感。思考の痕跡を残しておくために。

祝!ラグビーW杯開催!でもまだ10年先よ。

天気予報を覆すような好天にたいへん気分がよろしい。
昨日もそうだったが、夏の青空は気分を開放的にしてくれる。
細々した仕事の一切を投げ出してしまいたくなるほどに開放的になる。
ま、いいか。そんな気分のままに今日のところはぼけーっとしてみるか。

なんて気持ちになったものだからこうしてブログを書き始めてみたのである。

さて、ラグビー関係者並びにファンの方々はすでにご存じだろうと思われるが、2019年のラグビーワールドカップが日本で開催されることになった。今月に入ってすぐのころ、ワールドカップ運営会社であるワールドカップリミテッド(WCL)が日本での開催を国際ラグビーボード(IRB)に推薦していたので、開催地が日本になる確率は高いだろうとは思っていた。しかし、前回の時のように「いざふたを開けてみれば…」ということだってあり得るわけで、正式に決定が下されたのを知って、そうした微かな疑いと不安が吹き飛んだのである。これで心おきなく期待を寄せることができるというものだ。

いよいよ実感が湧いてきた。

ラグビーに関わってきた者として、また一ファンとしてオールブラックスの試合が国内で見られるわけだから、この興奮を隠さずにはいられない。神戸ホームズスタジアムではおそらく試合前のウォーミングアップをする様子が見られるだろうし、人垣をかき分けて見てみたいと思っている。

というように楽しげな想像は膨らむばかりだけれども、開催は10年後なのでいささか気が早い気もする。その時に活躍するオールブラックスの面々は、おそらく下は小学生、上は大学生。オールブラックスに限らずともどこの国のチームの代表も、おそらくはそうである。そして僕は44歳になっている。子どもと嫁を連れての試合観戦というのが理想だが、こんなことを考えてしまうあたりに僕の想像力が届く範囲を超えている。

新聞やネットの記事では、「開催国の意地を見せるための代表強化やグラウンドなどハード面の充実などやるべきことは山積しており、10年は長いようで短い」的なコメントが踊りまくっている。放映権料や広告収入は直接IRBに入るために、開催国に義務付けられる拠出金の約150億円は入場料収入で賄う必要があるのだが、全試合平均4万人の導入を見込んだとしてもチケットの値段は約1万5千円となる。もちろんこれはチケット価格を一律に考えた場合で、プラチナチケットなどで差異化すれば数千円にすることも可能なのだと言う。

4万人を超えるとなると、甲子園で行われる阪神戦くらいの観客数である。大阪に向かう阪神電車になだれ込んでくる甲子園帰りのファンの一団を想像すると、なかなかの人数である。これにラグビーというスポーツのマイナーさを追加して考えれば、いささか悲観的にならざるを得ないのであるが、そんなことを言っていても始まらない。日本での開催はもう決定したのである。一ラグビーファンとして、また元ラグビー選手として、途方もなく感じる10年後を見据えてあれこれと地道な活動をしていきたいなあと思っている。まず手始めとしては、身体観測にラグビーのことを書いていこうとは思っているが、それ以外のことというと、居酒屋でラグビーのよさをこれみよがしに話しまくるくらいのことしかできないんじゃないかとは思うけれど。そうそう、このブログにあれやこれやと書き連ねることもできるな。

まあとにかく、ささやかながら貢献していきたいと心に誓うのであった。

そして、10年後の日本代表を背負うであろう少年、青年ラガーマンたちの奮闘に心から期待する。大いなる目標に向かって無邪気に走り回ってほしいと願う。ま、でも、10代の子どもに10年後を意識させるのはあまりよくない気がして、「今」に一所懸命になるべき時期に子ども自身の想像力が及ばない未来のことを考えさせるのはどうかと思うから、ワールドカップに向けての道のりに誘うのは周りにいる指導者の役割であろう。子ども自身にはワールドカップの舞台を想像してワクワクしといてもらっといて、指導者が10年後を見据えた上での指導を行っていく。想像してみてそれが一番しっくりくる。ワールドカップに出るぞー、などと声高に現場で叫び続ける指導者の姿は想像しただけでげんなりである。

なんてことを指導現場にいない僕が言うのもなんだが、でもたぶんこういうことである(とさりげなく断定してみる)。

とにもかくにも、日本におけるラグビーというスポーツにとっての節目を10年後に迎えようとしている。あー、楽しみだー。