平尾剛のCANVAS DIALY

日々の雑感。思考の痕跡を残しておくために。

2010-01-01から1年間の記事一覧

リーダーシップ考。

今朝、研究室に向かう車の中で「リーダーシップってなんや?」という問いがふと頭の中を過る。たとえばスポーツの世界でも理想のリーダー像なるものがあって、軸がぶれない、競技力の高さを前提として先陣を切るなど、どちらかといえば「猛々しい者」として…

じわじわ染み入るあの感覚。

昨夜はがっつりとお酒を飲んだから二日酔いが心配されたものの、意外にもスッキリ元気な状態で、今まで研究室で仕事をしていた。西田幾多郎の「純粋経験」という概念を理解するためにせっせと読み、心に響いた箇所を抜き書きする。ストンと腑に落ちるという…

「"ラグロス”研究中・・・」身体観測第100回目。

ラクロス部の顧問に就任して早3年目。慣れ親しんだラグビーではなく未知なるスポーツを教えることに当初は戸惑いを隠せずにいた。だが、いつからか楽しむ余裕が出てきたようで、先日行われた夏合宿では練習やミーティングでもっともらしい言葉を口にしてい…

「純粋経験」を考える、その2。

「純粋経験」について考える、その2。本日のブログはいささか思弁的な内容になる見通しなので、小難しい話はごめんだという方はここで遠慮なく他のサイトに移動してくださいね。ほぼ自分のために書いていこうと思っとりますので。でも興味のある方はぜひと…

「右肩の傷から学んだこと」身体観測第99回目。

僕の右肩には10㎝ほどの手術痕がくっきりと刻まれている。その傷を見る度に思い出すのは術後に襲った尋常ではない痛み。あまりの疼きにベッドの上で夜通しのたうち回った。一晩に3度もナースコールで看護士を呼んだ。座薬を入れた直後は幾分か治まるものの…

「純粋経験」を考える、その1。

西田幾多郎『善の研究』(講談社学術文庫)を読み進めている。さきほど第一編「純粋経験」を読み終えた。この本を開いたそもそものきっかけは、5月に行われた運動伝承研究会にて金子明友先生の口から何度も発せられた「純粋経験」である。この語の意味を、…

割といろいろやってますやんか、ボク。

今日も朝から研究室に来ている。ラクロス練習には顔を出さず、2010年度上期の研究活動を書き出し、春学期に行った講義内容の見直しと添付した資料の整理をしていた。これまでの研究活動は、2度の学会発表、学内紀要に投稿した論文が1本、『考える人』…

「違和感」を信じてみようと思ったとき、身体を動かしたくなった。

長らくのお盆休みを終えて今日は大学の研究室に来ている。大学としては夏季休暇中だから、学内には通信教育部のスクーリング生と講師の先生方がわずかにおられるだけで、辺りはひっそりとしている。あ、体育館で耐震工事をしているので多少の物音はするけれ…

鈴木武氏を偲んで。

かれこれ10年くらいお付き合いのあった方が亡くなられていたことを知る。ここのところよくモーニングを食べに行く喫茶店【キューピット】のママの、「ここしばらく鈴木さんをお見かけしていないのだけれど・・・」から始まり、回り回って僕のところに安否を確認…

「空気」への更なる考察(昨日の続き)。

昨日のブログを読み返す。言葉のつながりが悪くどこか思考が覚束ない様がありありと表出している文章だなと感じた。ふと練習量が足りないままに試合に臨んだときのもたつき具合を思い出し、ああそうかと得心する。やはり文章を書くことにもラグビーと同じで…

山本七平著『「空気」の研究』を読んで。

そういえば「とにかく書く」と決めていたのだった。昼食をすませたあと坂を登りながらそのことがふと思い出されてハッとなった。まず書きたいことがあってそれを言葉に置き換えていく、というよりも、まず言葉を連ねることで書きたかったことがかたち作られ…

体重が減っているのですけど、なにか。

今日も暑い。モーニングをとろうと歩いて5分の喫茶店【キューピッド】まで行くだけで汗が滴り落ちてくる。三連休の水泳実習でたっぷり焼け焦げた顔と腕が、一昨日の北区ラグビーフェスティバルで炎天下にさらされたことでさらに上書きされ、しかも首筋あた…

「ちょっとだけ」を追いかけて。

久しぶりにこのブログのアクセス数を確認してみたところ、ここ数日の間にたくさんの方が訪れてくれていることがわかった。なんでやろかと考えてみれば思い当たる節があって、そういえばツイッターと連携させたことを思い出した。ブログの更新が自動的にツイ…

「審判への敬意」身体観測第98回目。

約1か月にわたり熱戦を繰り広げたサッカーワールドカップ南アフリカ大会もスペインの優勝で幕を閉じた。それほど熱心なファンではない私でさえも一抹の寂しさを感じているのだから、睡眠時間を削ってテレビにかじりついた熱烈なファンは祭りの後のような静…

「つまみ見る楽しみ」身体観測第97回目。

カメルーン戦にしぶとく勝利を収めた日本代表は、続くオランダに敗れはしたもののデンマークに3−1で勝利してベスト16進出を決めた。最終戦、揺れて落ちる本田選手のフリーキックは見とれてしまうほどにきれいな弧を描いていた。心理的な駆け引きを制した…

『考える人』に登場してます。

気がつけば2010年も半分が過ぎ去り7月に突入した。毎年この時期になると「1年の半分が過ぎた」ことを実感して時の流れの速さを痛感するのだが、また今年も同じように感じてこのフレーズを使っている。こうした繰り返しはなんだか心地よくて、また今年…

「スポーツがもたらすもの」を考える。

内田樹先生と釈徹宗先生と名越康文氏との対談および鼎談入り乱れセッション本である『現代人の祈り―呪いと祝い 』(サンガ)を読む。まだ1章を読み終えただけだがとてもオモシロい。たまらない。早く続きが読みたくて仕方がない。このあとの会議まで少し時…

好きな理由は「髪の毛が長いから」。

保育現場におられる方と話をする機会をいただいた。大学院時代の同級が久しぶりに研究室を訪ねて下さり、なつかし話に花を咲かせたのである。2年ほど前に保育園ラグビーを見学したことがあるのだが(その時の感想は「身体観測」に書いたのでこちらを読んで…

『人間の建設』から『他者と死者』へ。

『街場の大阪論』 (新潮文庫) を買うためにぶらりと立ち寄ったジュンク堂で『人間の建設』 (新潮文庫) が目に留まる。殺伐としたタイトルに「ゲッ」となったのが正直なところだが、小林秀雄と岡潔という名前が目に入った瞬間に「オオッ」となり2冊重ねてレ…

「「経験値』という言葉に」身体観測第96回目。

スポーツニュースで耳にするたびに違和感を覚える言葉がある。「経験値」である。たとえば、代表に選ばれて間もなく試合に出場したのだがあまり活躍できなかった選手を指して「経験値が足りなかった」と評したりする。言わんとすることはよくわかる。迫りく…

暴力性を中和するためにスポーツはある。

梅雨入りしてからというもの、天気は律儀にジメジメしてくださる。昨日はからりと晴れたけれどその日差しはきつくて暑過ぎた。そしてまた今日もジメジメしていて、朝からどれだけ汗をかいたのかよくわからない。1限目の『スポーツ文化事情』はアメリカ生まれ…

「ラグビーに求められる身体知」身体観測第95回目。

運動伝承研究会で発表する機会をいただいた。テーマは「判定競技であるラグビーに求められる身体知について」。ラグビーは敵味方を合わせた30人が70m×100mのグラウンドで一つのボールを奪い合う陣取りゲームである。歩数制限もなくドリブルをしなくてもよい…

「こびとさん」を大切にする宣言。

パソコンのデスクトップに張り付けてあった「こびとさんを大切に(09/10/03)」(@内田樹の研究室)がふと目にとまったので、おもむろに読み返してみた。そこにあった一文にドキンとした。 __________スランプというのは「自分にできることができ…

ツイッターとブログ。

更新頻度が落ちていることに開き直ってはいるけれども、さすがにこれだけ書かない日が続けば罪悪感が湧く。前回は身体観測を転載しただけなので実質的にかれこれ2週間以上も更新していない。書いていない。もしかするとこのまま書けなくなるのではないかと…

「W杯の思い出」身体観測第94回目。

来月11日に開幕を迎えるサッカーワールドカップの日本代表メンバーが発表された。川口能活選手の選出や本線での戦い方などの話題が各メディアを賑わせている。こうした報道に触れて、ふと自分が出場したときのことを思い出した。サッカーに比べればはるかに…

「栄養学」と「食べるということ」。

土砂崩れで神戸電鉄が不通になるほど激しく降り続いているここ北区は鈴蘭台。雨が激しく窓を叩きつける中をせっせと研究業務に勤しんでいる。先ほどツイッターで知った「宮崎県で起こったこと」を読み、激しく心がかき乱されている。口蹄疫による殺処分で1…

無意識に沈み込んでいた記憶に言葉が宛がわれる経験。

目覚めると気持ちのよい天気に気持ちが清々しくなる。夜には雨が降り出すらしいのでバタバタと布団を干して洗濯物を干す。それから新聞に目を通してパソコンを立ち上げる。今週は、いつもの1週間よりも少しだけ気を張っていたなあと思う。休日の朝独特のやわ…

あのウェールズ戦のハイパント。

本日掲載の身体観測にはボクがワールドカップに出場した時のことを書いた。ワールドカップ日本代表メンバーの選出にあたっては、周りにいる人たちの過熱ぶりとは裏腹にただ日本代表チームという環境に馴染もうとしていただけだったなあと、来月行われるサッ…

「もうひとりの自分」からの呪縛。

運動伝承研究会での発表抄録を先ほど送信して今日一日やるべきことが終了。明日の講義の準備も終わり、思いのほか早く終われたことにたっぷりと解放感を味わっている。今日の帰宅は確実に遅くなると高を括っていたので、その気になればできるものなのだなと…

あれもこれもすることの効用。

もしかして人間というものはいろんなことを同時並行に行っているときの方が作業能率は上がるのではないかと思う。研究会での発表内容を抄録にまとめることと、講義の準備と、もろもろの事務的な仕事と、『1Q84』の耽読と、愉快な仲間たちとの食事と、部…